日本は増税の過ちを繰り返すな

今日の日経新聞が、11/26付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」の社説を紹介しています。一読の値打ちありです。

 日本の政府税制調査会は定率減税廃止を答申し、増税を提案した。まさに「歴史は繰り返す」だ。1997年、政府は消費税率を引き上げ、景気回復の芽を摘む悲劇を演じた。小泉首相は言下にはねつけるべきだ。日本に増税を考える余裕はない。年初来、成長に急ブレーキがかかり、7?9月の年率成長率は新計算方式ではゼロ。……景気が消費頼みの時に増税に向かうのは無責任で、財政赤字削減は成長維持とデフレ脱却によって取り組むのが先決だ。……

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米軍再編のねらい

今日の日経6面の、米国防科学技術委員長ウィリアム・シュナイダー氏へのインタビュー(「米軍再編の狙いは」)は、米軍再編の狙いがどこにあるか、分かりやすく指摘しています。要旨を紹介すれば――

  • 冷戦終結に伴い、潜在的な脅威は、(ロシアなど)西ではなく、東(アジア)に存在するという認識の変化が背景にある。それは、近代化を進める中国軍とイスラム原理主義だ。
  • 米軍再編を促す軍事技術的な方向性は「軍事史例技術革命」(ブロードバンドを含めた商業ネットワークを活用し、迅速、かつ大容量のデータ通信網を前提とした軍事指令系統の構築)である。日本への米陸軍第1軍団司令部移転も、この「軍事指令技術革命」実現の一環であり、自衛隊との連携強化をめざしている
  • 指揮命令系統の相互運用性の向上が米軍再編の目玉であり、それを求める相手は、イギリス、オーストラリア、日本など信頼のおける同盟国に限られる。
  • 在沖縄海兵隊は、アジア太平洋地域で唯一の即応戦力だから、抜本的な削減は想定していない。

ということで、米軍再編が、ただ単に米軍の中だけの再編でなく、自衛隊との連携強化――しかも指揮命令系統の連携強化をめざすものだということが率直に明らかにされています。自衛隊が米軍の指揮系統のもとに一体化される、その危険性に、もっとメディアは目を向けるべきでしょう。
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ふたたび日中首脳会談へ

29日からのASEAN+3の場を利用して、30日に、こんどは温家宝首相との間で日中首脳会談が開かれることになったようです。

その前提として、こんな記事(靖国参拝、日中首脳会談で首相が慎重対処の意向=読売新聞)やら、こんな記事(日中首脳会談開催で再調整、中国側が打診=読売新聞)を勘案すると、どうやら日中関係の修復に向かって、小泉さんが靖国参拝問題で一定の譲歩をしたみたいですね。小泉首相ご本人も、昨日国会で明言を避けていたし。

問題は、その「譲歩」の中身です。日付だけ変えて参拝するとか、「内閣総理大臣」ではなく「自民党総裁」の肩書きで参拝するとか言われていますが、そんな姑息な手段がはたして通用するかどうか…。

日本人自身が日本の戦争責任と真剣に向き合うことが求められています。

姑息(こそく)――(名・形動)〔「姑」はしばらく、「息」はやむ意〕根本的に解決するのではなく、一時の間に合わせにすること。その場逃れに物事をすること。また、そのさま。【三省堂大辞林】
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