子どもがほしいアメリカ人女性と、理由があって子どもを育てられない女性――。アメリカ人女性に養子斡旋をする南米の孤児院が舞台です。子どもがほしいとやってきた7人のアメリカ人女性は、養子が認められるためにいろいろな条件があるらしく、なかなか手続きがすすまない。もし子どもができたら…とお互いに夢を語りながら、実際には離婚寸前だったり、お金がなくなりそうでその心配で頭がいっぱいだったり…。女性たちの複雑な心境が描写されます。他方、そういう女性たちを“お得意”にする弁護士と、ぐるになって滞在を長引かせてできるだけカネを使わせようとするホテル経営者。そんな人々が暮らす街には、ストリートチルドレンとなった孤児たちがあふれている。
と、「赤ちゃんたちの家」というにはほど遠いシリアスな現実を見せてくれますが、監督は決して、養子をほしがるアメリカ人や子どもを養子に出す母親を非難するわけでなく、貧困故に捨てられ、ストリートチルドレンにならざるを得ない「南」の厳しい現実も浮かび上がらせながら、子どもを養子に出さざるをえない母親の方が不幸なのか、それとも子どもができないというだけで苦しむアメリカ人の方が不幸なのかと問いかけてきます。