葛飾区のマンションで、共産党の都議会報告を配布していた男性を、住人が「住居不法侵入」で逮捕(私人による現行犯逮捕――ただし、本人には、警察署に連れていかれて、はじめて「すでに」逮捕されている事実が告げられた)された事件ですが、東京地検が、昨日、起訴しました。
マンションなど集合住宅内へのビラ配布については、前に、立川自衛隊官舎ビラ配布事件の一審無罪判決に関連してコメントしたことがありますが、今回の事件についても、それ以上に言うべきことがありません。
集合住宅の共用部分は、一般に外部の人が立ち入ることを想定した空間であり、オートロックなどで仕切られた空間内部に立ち入るのでない限り、その部分に立ち入って各部屋の玄関ドアにビラを配ったとしても、それが直ちに「不法侵入」になるというのは、相当に無理があります。今回の事件では、住人の1人が「何をしている」と誰何したということのようですが、仮に、その住人が「ビラを配るな」と言って退去を求めたとしても、それが効力を持つのは、その住人の管理にかかわる範囲のみ(つまり、その人の部屋の玄関前から退去するという程度)。それ以外の部分については、その住人に「不法侵入」として「私人の現行逮捕権」を行使する資格があるのかも疑問です。
また、立川の事件の時にも問題になったように、商業チラシや他の党の議員の議会報告などの配布が、実際には何も問題にされていないときに、共産党の議会報告の配布だけを問題にするというのは、決して「住人の不安」や「プライバシーを侵害されたくないという心理に配慮した」ものでないことを示しています。
今回の事件は、立川自衛隊官舎ビラ配布事件無罪判決にたいする意趣返しという可能性が、多分に感じられます。
<住居侵入>マンションでビラ配布、僧侶の男起訴 東京地検(毎日新聞)
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