ぼやいていても仕方がないので…

『経済学および課税の原理』

分からん、分からんとぼやいていても仕方がないので、一昨日から、リカードウ『経済学および課税の原理』(羽島卓也・吉澤芳樹訳、岩波文庫)を読み始める。

読んでみて初めて、この本が、「経済学の原理」と「課税の原理」を別次元のものと区別して論じていることを知る。で、第1章から第7章までが「経済学の原理」、第8章から第18章までが「課税の原理」、そして第19章以下が、それらについての応用編というか学説批評という形をとった補足、という構成になっている(羽島氏の解題による)。そう思って読むと、章ごとの組み立てには、それなりの筋が通っている。なるほどこういうことも、やっぱり現物を読んでみないことには分からないのだなあと、あらためて文献そのものに当たってみることの重要性を痛感。

第1部分の章別構成は、もっと簡略化すれば、第1章が価値について。それを、地代(第2章、第3章)、賃金(第5章)、利潤(第6章)に分けて論じているという格好になる。このことを見ても、リカードウがブルジョア経済学の範囲内で、地主・資本家・労働者の3大階級の階級対立を初めて理論的に捉えたというマルクスの指摘がよく分かる。ふむふむである。

で、昨日まででとりあえず第5章まで読み終える。マルクスと違って、文章は平易で読みやすい。いきなり価値から始まり、そのとき、商品は一般的平均的利潤率で利潤をもたらすものと前提されている。ここらあたりが、マルクスから批判されるところなのだろうが、リカードウに即してみると、現実の価格現象から価値を論じようとしているのだから、やはりそれなりに筋が通っている。平均利潤率が成立した段階で、賃金の価値(実質賃金率)が上昇したときに、有機的構成の異なる諸商品の相対的価格がどう変動するか、というところから、価格の背後に存在する実体としての価値の存在を明らかにするという論理立てがとられていて、ある面、非常にリアルに思える。

しかし、この部分は、第3版になって相当に書きかえられており、岩波文庫版は、それを、第2版をもとにした翻訳に注で細かく指摘するという構成を取っている。学説史研究にとっては役立つだろうが、リカードウの到達点を知りたいという人間には、第3版の論旨がたどりにくい…。そこで、第3版をもとにした邦訳を探してみたところ、河出書房新社の「世界大思想全集」シリーズの邦訳が第3版によるものらしいとの情報を入手したので、ともかく注文してみる(もちろん古書)。

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