『抗争する言語学』

出張中に読み終えたもう1冊の本は、F・J・ニューマイヤー著『抗争する言語学』(岩波書店)です。1994年に邦訳初版が出て、最近2刷が刊行されました。この本は、チョムスキー「生成文法」論を中軸にしながら、修辞学や文学・詩歌の音韻学、ソシュールなどの構造主義的言語学、またマルクス主義的言語学(こんなの、いまだにあるの?)、社会言語学などとの関係をまとめたものです。

内容的には、伝統的な比較言語学とソシュールなどの構造主義的言語学、それにチョムスキー理論を、「自律言語学」と一括りにして、修辞学や社会言語学と対照していることが特徴的です。ソシュールの言語学とチョムスキーの理論とが、同じ構造主義という枠組みでくくれるというのは、ちょっと新鮮な発見でした。普遍文法論が、コンピュータの自動翻訳との関係で研究されているというのも初めて知りましたが。

しかし、チョムスキー理論そのものについては、とくに深まった展開はなく、ちょっと物足りない感じです。チョムスキーの“過激”なアメリカ批判のために、しばしば生成文法論こそが革新的であると受け止められたり、逆に、言語使用における階級的差異を論じる社会言語学からは、そうした言語の社会的側面を対象にしないチョムスキーが「反動的」と論じられたり…。アメリカの言語学はややこしいですねえ。(^^;)

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