連鎖視点からみた日露戦争

山室信一『日露戦争の世紀』

山室信一さんの『日露戦争の世紀――連鎖視点から見る日本と世界』(岩波新書、2005年7月刊)を読み終えました。

今年は、日露戦争100年ということで、いろんな本が出ていますが、本書は、<1>日露戦争をはさむ1世紀――つまり1855年の日露和親条約の締結から、1955年の日ソ交渉の開始までの1世紀――を、どうして「和親」から始まった日露関係がわずか50年で開戦にいたったのか、そして、その後50年の間に日本はアジアへ侵略を拡大していったのはどうしてかをたどり、また、<2>日露戦争を出発点とする1世紀を、「戦争と革命の世紀」の20世紀として、また「アジアとの交流と断絶の20世紀」として、ふり返っています。

そのための方法というのが「連鎖視点」なのですが、それは、歴史のなかで生起する「あらゆる事象を、歴史的総体との繋がりの中でとらえ、逆にそれによって部分的で瑣末と思われる事象が構造的全体をどのように構成し規定していったのか」を考えるというもの。人と人との出会いや、出来事の繋がりで、歴史の「意味」を探ろうというもののように見受けました。

その中で、僕自身もいろいろ発見することがありました。たとえば大津事件とシベリア鉄道と日清戦争。山県有朋の朝鮮「利益線」論から松岡洋右の満蒙「生命線」論。非戦論、社会主義思想のアジア的、世界的な繋がり、などなど。

山室氏はそれと明記はしていませんが、そういう「連鎖」のなかで、「つくる会」などが散々っぱら取り上げているエピソード(たとえば、「黄禍」論、日本の日露戦争勝利の国際的な反響、など)も、その本来の位置づけが明らかにされています。

「連鎖視点」といわれると難しく聞こえますが、要は、その歴史的な繋がりの中で、過去の出来事の歴史的・現代的な意味を明らかにしながら、歴史を芋づる式にたどってみようということ。そうやって、日露戦争のもつ「意味」が浮かび上がってきます。

【書誌情報】著者:山室信一/書名:日露戦争の世紀――連鎖視点から見る日本と世界/出版社:岩波書店(岩波新書、新赤版958)/出版年:2005年7月刊/定価:本体780円+税/ISBN4-00-430958-1

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