“党首討論は志位和夫の8分間が圧巻”

ちょっと古くなりましたが、17日におこなわれた日本記者クラブの党首討論会について、ブログ「世に倦む日日」で、「各党討論は志位和夫の8分間が圧巻だった」との評価が書かれていました。

世に倦む日日 6党党首討論 – 志位和夫のエクセレンス、福島瑞穂のプログレス

僕も党首討論を見ましたが、志位さんはそうはいってもやっぱり麻生首相と論戦すると思っていたので、8分間をまるまる鳩山民主党代表との論戦に費やしたのは、正直驚きました。

しかし、終わってみれば、志位さんの選択は正解だったと思います。

「財界主導」の政治をあらためるつもりはあるのか? という志位さんの鋭い質問に、民主党・鳩山代表の答えは「財界のなかにもいい人はいる」というもの。そりゃそうでしょう。ユニクロの社長さんのように、日産やキヤノンの派遣切りを批判する人はいます。

でも、問題は、財界が、日本経団連が、労働法制を規制緩和しろ、社会保障を削れ、消費税を上げろ、法人税を下げろ、とあれこれ要求し、なんだかんだいって、結局、政治がそれに追随してきた訳で、民主党はそれをどう考えるのか? どうするつもりなのか? それが問われていると思います。

「官僚主導」を打破するというけれど、鳩山さんふうにいえば、官僚にだっていい人はいる訳で、鳩山さんの言っていることはこの点だけをとってみてもチグハグだということが分かります。

6党党首討論 – 志位和夫のエクセレンス、福島瑞穂のプログレス

(前略)

昨日(8/17)行われた日本記者クラブの6党党首討論は面白かった。マスコミは、21世紀臨調が主催する2党の党首討論(8/12)の方を詳しく報道したが、2党の党首討論は何の面白味もなく、聴き飽きたネガティブキャンペーンとそれへのワンパターンな対応だけで、意味のある選挙の討論になっていない。今回、マスコミは特に「二大政党制確立」を演出して宣伝していて、選挙報道から少数政党が提起する政策主張を閉め出すのに躍起になっている。ところが、主役であるはずの麻生首相と鳩山由紀夫の議論が貧相で、ブログで注目したくなる論戦の場面が一つもないのである。「政権交代」を賭けて戦っているはずの歴史的な選挙が、実際には全く面白くなく盛り上がりに欠けるのは、二大政党の二人の指導者の弁論がプアだからである。無論、その原因と責任は麻生首相の方に多くあるが。そして、6党の党首が揃うと討論は活気を帯び、選挙戦らしい熱を帯びてくる。選挙の輪郭が有権者の前にくっきりと立ち現れる。昨日の討論で言えば、冒頭演説は鳩山由紀夫の2分間が秀逸だった。そして各党討論は志位和夫の8分間が圧巻だった。志位和夫が登場すると、選挙が選挙らしくなり、論戦がコンセプチュアルな見応えのあるものになる。

志位和夫の8分間は短かった。質問は二点、選挙後に与野党の立場に分かれる鳩山由紀夫に対して向けられたが、国会質問のときと同じく、設計が完璧に練り上げられている。聴衆の関心に即した質問を短い時間にぶつけ、聴衆を啓発するように重要な争点を浮き上がらせながら、自党の立場と政策を説得している。クリアでコンセプチュアルでパースエイシブ。全体のレベルが下がり落ち、見るに耐えられない日本の政治家の議論の中で、志位和夫のエクセレンスは際立ったものがある。第一の論点、民主党の主張が「官僚主導」を批判するだけで、「財界主導」を批判していない点を衝いた論理は流れが整然として、労働法制の改悪や社会保障費の削減が、その政策の発信地が財界にあることを具体的に喝破した主張は見事だった。まさにこの点こそ、この選挙の最も重要なポイントであり、ジャーナリズムが指摘して国民に関心を喚起しなければならない問題である。民主党は諸悪の根源を官僚だと決めつけ、全ての問題の責任を官僚に押し被せて、官僚憎しの国民の感情を煽って支持を集めている。この手口は4年前の小泉純一郎と同じだが、官僚叩きを前面に出すことで、財界の責任を隠蔽し、財界を世間の批判から庇護してやっている。新自由主義の弊害という本質的な問題がスリカエられている。

志位和夫の質問の第二点、日米FTAの農産物自由化に焦点を当てた議論もシャープだった。鳩山由紀夫は曖昧な詭弁で逃げたが、米国との間でFTAを締結すれば、そこから農産物が除外されるはずがなく、米国からすればコメを日本に輸出するための日本とのFTAである。農家に最低所得補償すると言いながら、一方で日本の米作を壊滅に追い込む民主党の政策の矛盾に驚いたが、米国とのFTA締結を強力に主張しているのは小沢一郎で、選挙戦に入ってからも本人はマニフェストを修正する必要はないと言っている。どういう考え方なのだろうか。農協や自民党の支持者でなくても、民主党の対米FTAの推進政策は理解困難で、鳩山由紀夫の説明は説明になっていない。裏切られたと感じた農業関係者も多かっただろう。この問題は選挙後も尾を引くに違いない。8分間討論は志位和夫の独壇場だったが、2分間演説は鳩山由紀夫のものが印象深かった。(中略)

党首間討論はそれなりにスリリングだったが、記者たちの質問は緊張感のない面白くない時間になった。あそこで党首に質問を発した記者は、新聞社の政治部の最高権力者の面々であり、だから、麻生首相は嬉しそうな顔をして名前を出して質問に答えようとする。ジャーナリズムとしてわずかに有意味だったのは、鳩山由紀夫から新政権の閣僚構想を聞き出した部分だけだろうか。後の質問は、公平で国民の立場に立ったジャーナリズムからのものではなく、これまで自公政権と財界と一緒に日本を支配してきた日本の支配者たちの、まさに支配のための報道政治であり、世論操作のための質疑応答に尽きていた。呆気にとられたのは、どこの新聞幹部だったかは忘れたが、鳩山由紀夫に対して、「消費税はそんなに恐いものなのか」と言い放った記者がいたことだ。彼らの「常識」が奈辺にあるかがよく分かる瞬間だった。解散以降、マスコミはテレビも新聞も毎日のように消費税増税キャンペーンを繰り広げている。民主党の選挙公約を叩き、消費税増税の明記がないと責め、自民党と一緒になって「財源がない」「無責任だ」と脅し上げ続けている。当初、マニフェストを出す前は、4年間は消費税の議論の必要はないと言っていた鳩山由紀夫も、これなら大丈夫とばかり4年後には年金制度の財源として消費税を上げるという方針に転換した。サンデープロジェクトのように、遂には「消費税を上げろ」という「結果」の出た世論調査まで捏造して出し始めた政治番組もある。

新聞記者たちの関心と議論はワンパターンで、民主党に対して消費税を財源にしないのかという話と、社民党と民主党が一つの政権に収まったら自衛隊の海外派遣で齟齬が起きるだろうという話の二つだけである。そればかりを延々と一か月間続け、民主党に消費税を上げさせ、社民党と絶縁させる決断を仕向けるプロパガンダをリピートしている。国民に消費税増税と集団的自衛権の正当化を刷り込み続けている。「政権交代」は起きるかもしれないが、選挙全体から見れば、この間の政治は急速に反動的で庶民収奪的な方向に向かっていて、それを抑止する政治の動きが弱められている。マスコミによって消費税増税と集団的自衛権が強引に不可逆化されている。本来、こうしたマスコミの策動と政治の動向に敏感に反応して、監視者として異論反論の声を上げるのがネットの左翼の役割だが、彼らは「政権交代」の念仏の合唱をやりすぎて、脳がモルヒネ中毒の状態になり、現実の政治の状況が何も見えず、権力の動きに対して不感症になってしまっている。その記者の質問の時間でも、興味をひく応酬の場面を提供したのは志位和夫だった。日経新聞の編集委員の質問が志位和夫に飛び、労働者派遣法と企業経営が問題になった。「企業の負担を増やせば、結果として雇用が減ったり、企業が海外に出て行くのではないか」。これに対する志位和夫の切り返しも俊敏で優秀だった。「オバマ政権は富裕層と多国籍企業に増税し、軍事費を減らし、その財源を低所得者への減税と社会保障に充てようとしている」。

6党党首討論は志位和夫が主役で見せ場を作った。21世紀臨調と経団連が早く完全な二大政党制を実現したい理由がよく分かる。

それにしても、「世に倦む日日」も書かれているように、どうして新聞記者の質問というのは、ああつまんないんでしょうねぇ。「政権交代」を望む有権者でさえ、「あれかこれか」といった単純な思考はしてないのに。民主党政権ができるとして、はたしてどうするかを真剣に考えている感じです。

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  1. 社民と国民新党が所得税最高税率引き上げを公約で言っている。
    おそらく、民主も、いずれは、そうするでしょう。
    給付つき税額控除として間接的にやるか(民主案)
    所得税最高税率を50%にするか(社民と国民新党案)
    どっちかは必ずやるはず。

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