「やらせ」といえば、これこそ国による「やらせ」検査では?

九州電力に続いて、北海道電力でも住民シンポジウムへの社員の動員、推進意見の組織など、「やらせ」が問題になっていますが、「やらせ」といえば、これこそ国を挙げての「やらせ」検査じゃないか、という記事が、昨日の「東京新聞」に載っていました。

それは、東芝、日立など原発メーカーの社員が原子力安全・保安院に「再就職」して、自社の原発の安全点検をやっていた、というのです。なかには、原燃工がMOX燃料の納入を決めた翌日に、元原燃工の社員がその原発の検査官に採用される、などという「ベスト・マッチング」まであるとか。

東芝・日立など OBが“自社”原発検査 10年で36人 保安院に再就職:東京新聞

もちろん、安全検査をきちんとおこなうには、検査する側の安全・保安院が、原発メーカー以上の技術を持っていなければならないし、そのために、元原発メーカーの技術者を中途採用するということもありえます。しかし、その場合でも、自社の納入した機器の点検からは外すのが当然なのに、原発の場合は、東芝の原発は元東芝の社員が点検、日立の原発は元日立の技術者が点検……。これでは、なんのための原子力安全・保安院なのか、あきれてしまいます。

東芝・日立など OBが“自社”原発検査 10年で36人 保安院に再就職

[東京新聞 2011年8月26日 06時59分]

 原発メーカーなどの社員が経済産業省原子力安全・保安院に再就職し、出身企業の製品が納入された原発などの検査を担当したケースが過去10年で少なくとも36人に上ることが、経産省が国会関係者に提出した資料で分かった。保安院は「検査の中立性や公平性に影響はない」と説明しているが、専門家は「なれ合いになる恐れがある」と指摘している。
 保安院業務管理官室によると、透明性・公平性が疑われるとして、電力会社出身の検査官にはその電力会社の原発を担当させないのが慣例。しかし、電力会社の関連会社や原発メーカーの出身者は慣例の対象外だった。
 資料によると、2001〜11年、36人が「原子力保安検査官」として、出身会社やグループ企業が関与した原発の担当となった。経産省は検査官の全経歴を明らかにしておらず、出身企業が関与した原発を担当した人数はもっと多い可能性がある。
 中には、出身企業の納入先原発を渡り歩いたケースが7件あった。01年に採用された東芝出身の検査官は、同社が格納容器などを納品した敦賀原発を担当後、同じく納入先の浜岡原発を担当。日立グループのバブコック日立出身で03年採用の検査官も、日立が関与した敦賀原発、島根原発を担当した。
 また、MOX燃料を製造する原子燃料工業(原燃工)が08年3月末に高浜原発への燃料調達契約を関西電力と交わした翌日、原燃工の出身者が同原発担当の検査官として採用されるなど、納入が採用のきっかけになったと受け取れるケースもあった。
 保安院が発足した01年当時、検査官の前身の運転管理専門官は50人しかおらず、全国21カ所の検査官事務所に配置するには人手不足だった。このため、即戦力として原発メーカーや電力会社の社員を中途採用してきた経緯がある。
 中途採用者は01年からの10年間で83人。主な出身別では、東芝グループが27人、日立グループが7人、三菱電機グループ、IHI、関西電力が各6人、東京電力グループが3人。現在も保安検査官約120人の6割を中途採用が占める。
 業務管理官室の担当者は「中途採用者は原子力の専門家で実効性ある規制に必要。(納入先への配置は)現場の設備に詳しいということも理由の1つ」と説明している。

菅内閣で、原子力・安全保安院を経済産業省から切り離す方針が決定されましたが、環境省の外局になっても、肝心の安全審査や点検の体制が原発メーカーにおんぶに抱っこでは、実態はまったく変わりません。技術者の養成は一朝一夕にできませんが、日本で一番優れた原発技術者は保安院にいる、そんな状況をつくらなければダメでしょう。

安全・保安院が「(納入先への配置は)現場の設備に詳しいということも理由の1つ」などと言っているうちは、原発メーカーになめられるだけです。

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