日本経済新聞、「もっと個人消費を」と悲鳴を上げる

2011年10月16日 (日) at 23:54:25 Posted in 社説・論説, 日本経済

本日(10/16)の日本経済新聞の社説を、お読みになりましたか? 題して「個人消費は工夫でもっと掘り起こせる」。

個人消費は工夫でもっと掘り起こせる:日本経済新聞

曰く、社会が成熟すると「国内の個人消費はもうあまり伸びない」という見方は「本当だろうか」。「今月発表された流通業界の決算や、震災後の消費者行動は、国内市場に開拓の余地が大きいことを示している。成長の機会を逃すべきではない」云々。

先日の古典教室で、講師の不破さんは、資本にとっては、労働者は、労働力の売り手としてはできるだけ賃金を安くしておきたいが、買い手としてはできるだけたくさん商品を買ってもらいたい――この生産と消費の矛盾は、資本主義にとって避けがたい体制的矛盾だということを、マルクス『資本論』の文章を引いて紹介していましたが、この社説は、まさにそのことを表わしているのではないでしょうか。

この間、日本の財界・大企業は「国際競争力」を口実にして、労働者の賃金を切り下げてきました。そうやって儲けを絞り出してきたのですが、そうすればするほど、国内市場ではモノが売れなくなり、景気は悪くなり、企業業績は落ち込むばかり。だから、なんとしても個人消費を伸ばしたい。それが、「日経」をしてこんな社説を書かしめた――というわけです。

しかし、本当に個人消費を伸ばしたいのであれば、正規雇用を非正規雇用で置き換えるようなやり方をあらためて、大企業がため込んだ儲けをきちんと労働者に還元することが必要です。それなしに、目先のあの手この手で個人消費を「掘り起こそう」といってみても、限られた個人消費の奪い合いにしかならないことを肝に銘じておくべきでしょう。

【社説】個人消費は工夫でもっと掘り起こせる

[日本経済新聞 2011/10/16付]

 社会が成熟し、国内の個人消費はもうあまり伸びない。この見方は本当だろうか。今月発表された流通業の決算や、震災後の消費者行動は、国内市場に開拓の余地が大きいことを示している。成長の機会を逃すべきではない。
 コンビニエンスストア大手5社の上期決算は全店売上高、営業利益ともそろって増加した。総菜などに力を入れ、若い男性以外の利用増を目指す中で大地震が発生。「身近な食料品や生活用品の供給基地として見直され、女性や高齢者に客層が拡大した」(みずほコーポレート銀行産業調査部)
 高齢者や時間を節約したい働く女性にとって、近場で必要なものがそろう店は重宝だ。これまで大型店に力を入れてきたスーパーや薬局も小型店に目を向けている。
 その先には計600万人と経済産業省が推計する「買い物弱者」がいる。過疎地や住民が減る団地などで、ふだんの買い物に苦労する人々だ。移動販売車、使いやすい端末による通信販売、買い物バスなどの試みが始まっている。異業種との共同配送で配達費を下げるなど、採算に合う道を見つけたい。海外展開の可能性も開ける。
 米国では大手小売業と政府や自治体が協力し、買い物に不自由する地区の解消に取り組み始めている。「店」が地域で果たす役割は大きい。今回の被災者向け仮設住宅でも、物販・飲食店を組み込んでいれば、住民の利便性や交流、雇用にも役立ったろう。
 必需品だけではない。震災後、百貨店では高額品の売り上げが伸び始めた。家族や友人との結びつきを強める贈答品だ。きのうは女性向けの店や低価格衣料品店が目立つ東京都心の銀座・有楽町地区に、大手百貨店が男性に特化した店を開き行列ができた。多少高くても安心でき、長く使えるものがほしい男性は多いと踏む。横並びから脱する挑戦は歓迎したい。
 米国の調査会社によれば、リーマン・ショックを機に、日米を含む先進国で、成人人口の約半数が「量より質」「見えを張るより自分磨き」へと消費の物差しを変えたという。人とのつながりを大事にし、商品や企業を社会的な信頼感、地域への貢献度で選ぶ。日本では震災が流れを加速した。節電用品や被災地の産品が流通各社の予想を超えて売れたのが好例だ。
 身近、安心、地域、つながり。変わる価値観を見極めれば、消費はもっと掘り起こせるはずだ。

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