資本論について呟きました

この間、資本論第3部について呟いたものをまとめて貼り付けておきます。

  • 資本論第3部第6章、新日本新書版225頁後ろから2行目(13ページ)という頁数には出典が書かれていないが、これは『工場監督官報告書』1861年10月31日付の12、13頁から。Google Booksの同報告書コピーで確認できるし、MEGA II/15でも指摘されている #資本論 posted at 20:55:42
  • 第3部主要草稿 II/4.2 200.40にも出典が1861年10月の工場監督官報告書であることは書かれているので、エンゲルスが草稿から現行版資本論第3部をまとめるときに忘れたものと思われる。しかし今まで誰も調べなかったのだろうか?不思議だ。 #資本論 posted at 21:12:03

  • 資本論第3部第6章。新日本新書第8分冊225頁6行目。糊づけされた経糸を使うことで、綜絖のなかで糸が切れ、織布工が「つなぎのために5分間、時間を損する」とあるが、ここで切れるのは綜絖の糸。工場監督官報告書にはthe threads of the healdとある。 #資本論 posted at 17:30:54
  • 綜絖は、緯糸を通すために経糸を上下に分けて、杼が通る空間をあけるための装置。現在は金属製などもあるが、昔は太い丈夫な糸でできていた。そこを経糸を交互に通した。その糸が切れたからといってつなぎ直したのでは、経糸が綺麗に揃わない。だから「つなぎ」は明らかに誤訳。 #資本論 posted at 17:34:02
  • そういうふうに誤訳した原因は、ドイツ語でこの部分がFadenbrüche in der Litzeとなっていて、綜絖を通るときに経糸が切れるようにも読めるから。しかしそうでないことは工場監督官報告書に書かれているとおり。上製版では「つなぎ」は「修繕」に訂正されている。 #資本論 posted at 17:36:02
  • ただ、綜絖の糸1本を直すのを「修繕」と呼ぶのが日本語として相応しいかどうかは要検討。「修繕」というのはもっと大きなものを直す場合に使う言葉ではないか。もちろん「修理」もダメ。ここはごく普通に「直す」という表現が一番ぴったりくると思う。 #資本論 posted at 17:41:26
  • ちなみに最近の人は織機を見たことがないかも知れないが、綜絖というのは、機織りを動かしたときに上下にカシャカシャ動いている部分。手織り機でも自動織機でも、布を織るには綜絖は欠かせない装置。 #資本論 posted at 17:43:38
  • 足で踏むと、綜絖がパタンと上下して、緯糸を巻きつけた杼を通すだけの空間が経糸の間に空いて、そこを杼を通して、また足で踏むとパタンと杼が上下して、こんどは経糸が逆に上下に空いて、交互に緯糸を通すことができるわけだね。それをくり返すから、パッタンパッタンと織ることになる。 #資本論 posted at 17:45:58
  • と、こんなことを書いていても、僕自身、機織りをしたことはない。だから最初は仕組みが分からず、資本論に書かれていることがどういうことを言っているのか分からず苦労した。でも、インターネットで探すといろんな図面や動画、解説資料が見つかる。ほんと便利な世の中になりました。 #資本論 posted at 17:49:55
  • 資本論第3部第6章 新日本新書第8分冊212頁の引用で、突然、毎週紡がれる糸を1錘当たり13オンスとすると、1週間では82万4700ポンドの糸が紡がれると出てくる。なぜ1錘あたり13オンスで週82万4700ポンドになるのか、その理由がどこにも書かれていない。 #資本論 posted at 23:07:07
  • 実はマルクスが引用を省略したところで、ベインズ氏は、ブラックバーン市で稼働中の紡錘をミュール紡錘9万5000、スロッスル紡錘6万5000の計101万5000錘と計算している。だから13オンス×101万5000÷16で、約82万4700になる。 #資本論 posted at 23:09:45
  • そのあとにベインズ氏の計算によればイギリス全体の紡錘数は2880万になると出てくる。これも引用を省略した部分で、ベインズ氏が、ブラックバーン市とその周辺の紡錘数を160万と計算している。これがイギリス全体の1/18なのだから、イギリス全体の紡錘数は2880万になる。 #資本論 posted at 23:14:12
  • これらのことは、Google Booksで手に入れた工場監督官報告書のコピーで確認できる。マルクスが引用を省略した部分は新MEGAのアパラートの注解でも省略されているから、こういうことは報告書そのものを読んでみないと分からない。 #資本論 posted at 23:15:59
  • 昔なら、大学の先生がイギリスに留学でもしない限り、分かりようがなかった問題。それが、いまや日本で机の前に座ってコンピュータをカチカチやっていれば分かってしまうんだから、ほんとにすごい時代になったもんだ! #資本論 posted at 23:17:43
  • 【訂正】4つ前のツイートで、ミュール紡錘9万5000と呟いたけど、正しくはミュール紡錘95万。これとスロッスル紡錘6万5000で、計101万5000になる。 #資本論 posted at 23:33:19
  • マルクスが資本論で活用した工場監督官報告書を次々とGoogle BOOKSで発見!資本論を読んだだけでは意味のわからなかった箇所も、報告書を読めばたちまち解決!本当に便利な世の中になりました。 #資本論 posted at 18:20:05
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊、26頁16行目「歴史的および論理的形成過程」は「歴史的あるいは論理的形成過程」が正しい。原文はresp. 他の邦訳でも「および」と訳したものはない。 #資本論 posted at 21:19:34
  • 新日本出版社「資本論」第8分冊51頁10行目「逆に、他の事情に変わりがなければ」とあるのは「逆に、他の事情は変わらずに」と訳すべき。ここは「労働力の価格は変動するが、他の事情は変わらない」と仮定しようと言っているのだから仮定に訳したのでは意味が通じない。 #資本論 posted at 21:29:32
  • 新日本出版社「資本論」第8分冊75頁10行目「簡単な生産関係」は草稿では「本来の生産関係」となっている。「すでに本来の生産関係そのものにおいて、必然的に…歪められた観念」が生じている、で意味がきちんと通じるから、草稿のほうが正しいのだろう。 #資本論 posted at 21:33:29
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊67頁11行目「受け取る。または」となっているのは「受け取る、または」が正しい。原文は, oderで文章は続いており、邦訳でもここは次の文章に続けないと意味が通じない。 #資本論 posted at 21:35:44
  • 新日本新書「資本論」新書版第8分冊113頁後ろから2行目「m’が可変である?で」は106頁の見出し「第二 m’が可変な場合」を指しているのだから、それに合わせて「第二 m’が化変な場合で与えられた一般的定式によって解決される」と訳すべきだろう。 #資本論 posted at 21:41:06
  • 新日本出版社「資本論」第8分冊129頁1行目の「事実」、131頁左から5行目「これらの資料」の原文はいずれもDaten(データの複数形)。昔は「データ」と訳したのでは意味が通じなかったが、いまは「事実」とか「資料」とか訳すより「データ」と訳した方が分かりやすい。 #資本論 posted at 21:45:52
  • 新日本出版社「資本論」第8分冊143頁1行目「生産諸手段一般」は草稿では「そのような生活諸手段のための生産諸手段」。そしてその1行あと「こういう事情」と訳されているのは原文はLetztrer Umstand「後者の事情」だが、そう訳したら現行版では意味が通じない。 #資本論 posted at 21:50:44
  • そこで、Letztrer Umstandを「こういう事情」とぼかして訳しているのだが、草稿通り「そのような生活諸手段のための生産諸手段」であれば、「後者の事情」と訳して意味はピタリと通じる。おそらく「生産諸手段一般」が間違いなのだろう。 #資本論 posted at 21:52:16
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊157頁の表で、リークの項が「手袋製造業 おおかた女子」となっているのは「絹業 主として女子」が正しい。純然たる誤植。新書版だけでなく上製版でも直ってない。 #資本論 posted at 21:56:23
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊157頁左から3行目「男子の工場労働従事の割合のほうが大きい絹業地域」とあるが、上表でも絹業地域は「主として女子」で従業の割合は女性のほうが大きい。正しくは「男性の工場労働従事の割合がより大きな絹業地域」。 #資本論 posted at 22:00:47
  • 要するに、同じ男性で比較した場合に、さなだ業地域やレース製造業地域、手袋製造業地域に比べて男性の工場労働従事率が高い絹業地域の方が男性の死亡率が高いという話。原文ではgrößerと比較級になっているがals節はない。つまり女性と比較している訳ではないということ。 #資本論 posted at 22:09:48
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊170頁3行目「高圧機関を復水器と組み合わせて」とあるが、この「復水器」は原文Kondensiermachiene、英文原資料ではa condensing engineだから「復水器」ではなく「復水器付き〔蒸気〕機関」と訳すべき。 #資本論 posted at 22:17:21
  • ここで取り上げられているのは、二気筒にするの代わりに、高圧蒸気機関と復水器付き蒸気機関とを連結して動かすという話。この時代、蒸気機関にはすでに復水器はついているので、高圧蒸気機関に復水器をつないでも意味がない。次の引用では正しく「復水器付き蒸気機関」と訳されている。 #資本論 posted at 22:20:07
  • 新日本出版社「資本論」新書版第8分冊205頁3〜4目「一方で生産の拡大が」は「一方で生産の拡大を」、4〜5行目「生産地域からの供給が」は「生産地域からの供給を」、「この両者がともに」は「この両者とともに」が正しい。現行訳は4格の目的語を1格(主語)と取り違えている。 #資本論 posted at 22:25:51
  • この3行目「さて」以下の従属節は、「原料価格の高騰」が主語で、それが一方では需要を減退させ、他方では生産を拡大させたり、これまで利用されなかった生産地域から供給を行わせたりすることで、原料価格の高騰が崩壊するとすれば、という話。主語が途中で変化したりはしていない。 #資本論 posted at 22:29:23

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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