中国のトヨタ自動車工場が操業停止

中国のトヨタ自動車工場が、系列部品メーカーでのストライキのために、操業停止に追い込まれたようだ。ストライキは17日に始まり、19日には会社側が賃上げを認め、収集に向かったという話だが、はたしてどうなっているのだろうか。

先月には、中国のホンダ工場も、部品メーカーのストライキで操業停止に追い込まれた。

もはや中国は、低賃金による「世界の工場」にはとどまらなくなっている。対応を間違えると、中国に進出した日系企業は重大な影響を被ることになるだろう。

トヨタ 天津工場の操業停止 部品メーカーのストで:東京新聞
トヨタの中国工場再開へ 天津部品工場のスト収拾:西日本新聞
クローズアップ2010:中国、広がるスト 「世界の工場」に異変:毎日新聞

トヨタ 天津工場の操業停止 部品メーカーのストで

[東京新聞 2010年6月19日 朝刊]

 【北京=池田実】トヨタ自動車グループの自動車部品メーカー、豊田合成の天津工場で起きたストライキの影響で18日、トヨタの天津工場の操業がストップした。関係者が同日明らかにした。
 豊田合成の天津工場で生産しているプラスチック内装部品などの供給がストップしたことが原因。17日に起きた天津豊田合成のストは18日も続いており、長引けばトヨタの中国事業にも深刻な影響を及ぼしそうだ。
 トヨタの天津工場ではカローラなどを生産しており、3つの生産ラインすべてで影響を受けているという。
 また日産自動車関係者は同日、取引先の部品メーカーで、初めてストが起きたことを明らかにした。ハンドルなどを生産する日本プラスト(静岡県富士宮市)の広東省中山市にある工場で、同社によると、「解決のメドはたっていない」としている。同社は日産以外にもホンダなどにも部品を供給しているが、両社とも「現在のところ影響はない」としている。

トヨタの中国工場再開へ 天津部品工場のスト収拾

[西日本新聞 2010年6月19日 22:14]

 トヨタ自動車グループの部品メーカー、豊田合成は19日、賃上げなどを求めるストライキが起きていた中国天津市の現地子会社「天津豊田合成」の工場の生産を20日に再開させることで従業員側と合意したことを明らかにした。同工場から部品を調達できなくなり、操業停止に追い込まれた天津市内のトヨタ完成車工場は週明けの21日に再開する。
 天津豊田合成は19日に従業員側と協議。全従業員約1800人を対象に賃金の2割アップと暑熱や皆勤の手当充実などの条件で妥結した。日曜日の20日は休日を返上して生産の遅れを取り戻す。
 ストは17日午前に始まり、内装用樹脂製部品の生産ラインが18日まで停止した。完成車工場の操業停止が短期間にとどまる見通しとなったことで、豊田合成は「ストの影響は限定的だろう」と話している。
 天津の完成車工場は小型車「カローラ」や高級車「クラウン」などを製造。市内には天津豊田合成のような系列部品メーカーが集中していることから、トヨタ中国現地法人はストの拡大阻止に努めていた。

クローズアップ2010:中国、広がるスト 「世界の工場」に異変

[毎日新聞 2010年6月20日 東京朝刊]

◇権利意識、若年層が主導

 低賃金で外資の生産を請け負ってきた「世界の工場」中国。しかし、今春以降、賃上げを求めるストや低い待遇を悲観した労働者の自殺が相次ぐ異変が起きている。改革・開放政策から30年。輸出依存の新興国型モデルからの脱皮を探る中国政府は19日、事実上の人民元切り上げ再開を表明。内需拡大に役立つ賃金上昇を容認する姿勢で「工場」は変容しようとしている。
 「仕事がきつく、生活も単調。きれいな服を着て、ゆったり暮らす都会の人がうらやましい」。北京で建設作業員として働く常〓さん(28)は14日、温家宝首相に出稼ぎ労働者の不満を訴えた。温首相が出稼ぎ労働者を慰問した背景には、最近の中国各地の工場での労働争議の頻発があるとみられている。
 自殺者が相次いだ台湾系電子機器工場やストが続発したホンダの部品工場は、5月下旬、基本給倍増を含む大幅な賃上げを発表。情報はインターネットなどで瞬く間に広まり、今月18日には、系列部品工場での賃上げを求めるストの影響でトヨタ自動車も天津市の車両工場の生産停止に追い込まれた。ホンダのスト直後、日本では「中国全土にストが広がる可能性がある」(東芝幹部)と懸念が漏れたが、現実となり、労働争議の波は沿海部から内陸部に広がっている。
 労働争議を主導するのは、経済の改革・開放が始まった70年代後半以降に生まれた世代。以前の世代より教育水準が高く、権利意識が高く、上海など大都会の華やかなイメージと、工場での低賃金・単純労働のギャップに対する不満は強い。また、一人っ子政策の影響で若年労働者層が従来よりも減っていることもスト続発の要因と指摘される。
 実際、ストが起きたホンダの部品工場がある広東省仏山市の今年1?3月期の製造業求人倍率は10.62と、10人の求人に1人が応募するかどうかという状況。低賃金の豊富な労働力を誇ってきた中国社会の変化は鮮明だ。中国では、正式には官製労働組合しか認められておらず、労働者のスト権もない。ただ、国も国民意識や社会の変化は無視できず、一連のストは黙認されたとみられる。
 さらに、労働者の待遇改善は、中国政府が最重要課題に掲げる内需拡大や高付加価値産業育成を柱とする経済発展モデルへの転換にも必須だ。北京五輪や上海万博を開催し経済発展の初期段階を終えた中国は、低賃金で外資の生産を請け負う新興国型成長モデルからの脱皮を模索。来年からの次期5カ年計画に「所得倍増計画」を盛り込むことも検討している。地方でも、広東省のトップ、汪洋・同省共産党委書記(党政治局委員)が「低賃金と残業頼みの製造業の構造を変えなければならない」と力説するなど、経済先進国に向けた基盤作りを急いでいる。
 中国製造業の現場ルポで知られる米作家、アレクサンドラ・ハーニーさんは「労働者の収入の増加は内需主導型への経済転換を促す」と評価する。一方で、大幅な賃上げはインフレ懸念を高め、労働争議が過激化すれば、政府批判につながるリスクもある。展開次第では、中国政府も難しい対応を迫られる。【北京・浦松丈二】

◇日系企業、対応に苦慮 「既に多額投資…後引けない」「巨大市場、捨てられぬ」

 人件費の急上昇や労働争議多発を受けて、日本企業も対応を迫られている。一部には、中国依存の生産体制を見直す動きも出始めたが、自動車や電機にとっては急拡大する中国が業績を左右する「最重要の市場」(豊田章男トヨタ社長)。各社は「丁寧に労使交渉をしていくしかない」(ホンダ幹部)と話す。
 カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは現在85%を占める中国での生産比率を引き下げることを検討。将来的に生産の3分の1以上をベトナムやバングラデシュなど賃金が安く、労働者も穏健な地域で賄う方針だ。
 一方、ホンダやソニーなど大手メーカーは、系列部品会社も含めた巨額投資で中国での一貫生産体制を築いてきただけに、他国に生産拠点を移すのは容易ではない。しかも、中国は09年の新車販売が1364万台と米国を抜き世界最大に成長。薄型テレビから冷蔵庫まで家電も世界最大級の消費地になりつつある。現地生産を維持・強化しなければ税制面で不利なほか「消費者ニーズを取り込めず、販売面で後れを取りかねない」(電機メーカー首脳)。このため、「中国での生産拡大路線は変えられない」と声をそろえる。
 台湾メーカーは「台湾回帰」を探っている。米アップルのiPadなどの生産を請け負う「富士康」。労働者の自殺が相次いだため、親会社「鴻海グループ」の郭台銘会長は8日、一部生産ラインを台湾に戻す計画を発表。馬英九総統も「台湾企業の回帰に備え、経済貿易特区を作るべきだ」と後押しする。
 ただ、台湾の一般的な工場労働者の基本給は、1万7280台湾ドル(約4万9000円)。賃上げ後も、富士康の従業員の基本給は2000元(約2万7000円)とほぼ半分で、「台湾回帰」は競争力を低下させかねない。【宮崎泰宏、浜中慎哉、台北・大谷麻由美】

日頃、中国政府が政治的自由や人権を認めないといって批判ばかりしている日本のメディアだが、中国の労働者たちが権利を主張し、賃上げを求めてストライキをやるとなると、不思議なことに、とたんに歯切れが悪くなる。

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