置塩信雄『蓄積論』(9)

第1章 資本制経済の基礎構造

4、実質賃金率と資本蓄積

c 蓄積需要と実質賃金率

  • ある時点における実質賃金率の水準は、その時点に存在する両部門の生産能力、生産技術を一定とすれば、これらの生産能力を所有する資本家の生産決定態度、資本家の蓄積需要、個人消費に依存する。これらの決定要因のうち、もっとも変動が激しく、他の諸要因をも変化させてゆくのは、資本家の蓄積需要である。(88ページ)
  • 資本家の蓄積需要が、その期の生産能力に比して高水準の時は、実質賃金率は下落し、蓄積需要が、その期の生産能力の比して低水準の時には、実質賃金率は上昇する。実質賃金率の運動の仕方を決めるのは、蓄積需要の絶対的な大きさではなく、その期の生産能力との相対的連関である。(89ページ)
  • その期の生産能力と蓄積需要の相対的関係は、今期に存在する生産財量に対する次期の生産財の増加分の比であらわすことができる。この比を資本蓄積率(資本の増加率)と呼ぶ。すると、各期の資本蓄積率の変化が実質賃金率の運動を引き起こすと言える。(90ページ)

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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