ついに逆転!! 憲法改正反対が賛成を上回る

読売新聞の世論調査で、憲法改正に「反対」が43.1%で、「賛成」42.5%を上回る結果が明らかに。2004年の「改正しない方がよい」22.7%、「改正する方がよい」65.0%から、「改正反対」は右肩上がりで増加。ついに逆転した。

憲法改正反対が逆転(「読売新聞」2008年4月8日付朝刊)
憲法改正反対が逆転(「読売新聞」2008年4月8日付)

憲法改正「反対」43%、「賛成」を上回る…読売世論調査(読売新聞)
「年間連続調査・日本人(4)憲法」(読売新聞)

9条についてみれば、9条を今後どうすべきかの質問に、「解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する」と答えたのは昨年の35.7%からさらに減って30.7%。現状維持派(「これまで通り、解釈や運用で対応する」36.2%、昨年は35.8%)と厳格派(「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」23.9%、昨年は20.0%)で60.1%(昨年は55.8%)が9条の改正に否定的だった。厳格派が4分の1近くを占めたというのも注目される。

さらに、第1項、第2項それぞれ改正の是非について質問した項目でも、改正賛成派は圧倒的少数だ。第1項「戦争放棄」については改正賛成12.5%(昨年14.0%)に対して反対81.6%(昨年80.3%)。第2項「戦力不保持」についても、「改正の必要がある」は36.8%(昨年38.1%)で、「ない」が54.5%と、昨年(54.1%)に続いて過半数を超えた。「今の条文を改めたり、新たな条文を加えたりする方がよいと思うもの」として、「自衛のための軍隊保持」をあげた人は26.5%(昨年23.2%)しかない。

集団的自衛権について、51.6%が「これまで通り、使えなくてよい」と回答しているのも注目される(昨年は50.0%)。これにたいし、「憲法改正で集団的自衛権を使えるようにする」は18.7%(昨年20.8%)しかなく、また「憲法解釈の変更で使えるようにする」も22.1%(昨年20.6%)で、合わせても集団的自衛権を使えるようにすべきだという意見は40.8%(昨年41.4%)しかない。

読売新聞は、あれこれの質問を重ねて、なんとかして改正賛成派が多くなるようにしたかったのだろうが、結果は、見事に読売の期待を裏切り、むしろどの面から質問してみても、9条改正反対が世論の多数になっていることを実証した。もはや「9条改正」論は少数派になった――ということが明確になった世論調査といえよう。

それにしても読売新聞は、この調査結果にたいへん悔しそう。そもそも、調査を3月15、16日に実施していたにもかかわらず、結果の公表を今日まで遅らせていた。記事の中でも、「各政党が憲法議論をさらに活発化させるべきだと思う人が71%」とか「改めたり加えたりした方が良いと思う条文を挙げた人も7割を超えた」ことなどを論拠に、「時代にそぐわない部分が増えているとの認識は根強い」と、未練たらたら。

そんな中で、憲法改正論議が逆転した原因として、同記事は「憲法改正に強い意欲を示した安部前首相の突然の退陣」をあげているのは注目される。安倍前首相の政権投げ出しが改憲勢力にとって大きな痛手になっていることがあらためて示されたといえる。

読売新聞が最後の頼みの綱にしている、「改めたり加えたりした方が良いと思う条文を挙げた人も7割を超えた」というのも、アンケートに項目が列挙されている中で、複数回答で何かの項目を選んだ人が回答者の7割だったということであって、個々の項目についてみると、改正あるいは条文追加に賛成している人は、一番多い「自衛のための軍隊保持」でも26.5%しかなく、「とくにない」24.4%と同じ程度。

読売新聞2面には、「見えない『国のかたち』」という見出しで、世論調査部長の解説記事を載せているが、世論調査からは、「9条を守る」という方向は明確。それに目をむけようとしない読売新聞こそ、「国のかたち」を見失っているのではないだろうか。

憲法改正「反対」43%、「賛成」を上回る…読売世論調査
(2008年4月8日01時08分 読売新聞)

 読売新聞社が実施した憲法に関する全国世論調査(面接方式)によると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は42.5%、改正しない方がよいと思う人は43.1%で、わずかながら非改正派が改正派を上回った。
 ただ、各政党が憲法議論をさらに活発化させるべきだと思う人は71%に上り、改めたり加えたりした方が良いと思う条文を挙げた人も7割を超えた。施行61年を迎える憲法に、時代にそぐわない部分が増えているとの認識は根強いようだ。
 調査は3月15、16日に年間連続調査「日本人」の一環として行った。
 1981年から実施している「憲法」世論調査では93年以降、一貫して改正派が非改正派を上回っていた。しかし、今回は改正派が昨年より3.7ポイント減る一方、非改正派が4.0ポイント増え、これが逆転した。憲法改正に強い意欲を示した安倍前首相の突然の退陣や、ねじれ国会での政治の停滞へのいらだちなどが影響したと見られる。
 改正派にその理由を複数回答で聞いたところ、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」の45%が最も多かった。非改正派では「世界に誇る平和憲法だから」が53%で最多だった。
 憲法で関心のある点(複数回答)であは「戦争放棄、自衛隊の問題」が47%で7年連続で最多となった。昨年との比較では「裁判の問題」が20%(昨年15%)に増え、裁判員制度への関心の高まりをうかがわせた。
 改めたり加えたりした方がよいと思う憲法の条文(複数回答)としては、<1>自衛のための軍隊保持27%<2>良好な環境で生活する権利25%<3>国と地方の役割22%――を挙げた人が多く、「特にない」は24%だった。
 自衛隊の海外派遣全般に関する原則を定める恒久法を必要と思う人は46%で、「そうは思わない」42%を上回った。9条を今後どうするかについては「これまで通り、解釈や運用で対応する」36%、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」31%、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」24%となった。

「年間連続調査・日本人 (4)憲法」 2008年3月調査(面接方式)

▽調査日:2008年3月15-16日
 対象者:全国有権者3,000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
 方法:個別訪問面接聴取法、回収:1,786人(59.5%)*

Q18(36;37 )日本の憲法についてお聞きします。
 あなたは、今の日本の憲法のどんな点に関心を持っていますか。回答リスト10番の問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心を持っているものを、いくつでもあげて下さい。
 答え 10.天皇や皇室の問題            20.1
    20.戦争放棄、自衛隊の問題         46.9
    30.平等と差別の問題            17.6
    40.言論、出版、映像などの表現の自由の問題 10.6
    50.情報公開の問題             11.8
    60.プライバシー保護の問題         15.3
    70.生存権、社会福祉の問題         18.8
    80.環境問題                31.0
    90.集会やデモ、ストライキ権の問題     2.1
    01.選挙制度の問題             10.7
    02.裁判の問題               20.4
    03.靖国神社への公式参拝の問題       15.0
    04.憲法改正の問題             13.0
    05.三権分立の問題             4.6
    06.地方自治の問題             13.0
    07.国会の二院制の問題           6.8
    08.憲法制定の過程や背景          4.3
    09.その他、とくにない、DK.NA        15.5
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q19(38)あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか。
 答え 1.改正する方がよい 42.5   2.改正しない方がよい 43.1   3.DK.NA 14.4
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)

SQ1(39)【質問対象=Q19の答えが(1)の人だけ】
 あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。回答リスト11番の中から、いくつでもあげて下さい。
 答え 1.アメリカに押しつけられた憲法だから               31.2
    2.国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため    24.5
    3.権利の主張が多すぎ、義務がおろそかにされているから   24.6
    4.憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから       30.8
    5.国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから 45.2
    6.その他                             3.0
    7.DK.NA                              2.0
    0.非該当(Q19の答えが(2,3)の人)
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)

SQ2(40)【質問対象=Q19の答えが(2)の人だけ】
 あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。回答リスト12番の中から、いくつでもあげて下さい。
 答え 1.すでに国民の中に定着しているから            42.7
    2.世界に誇る平和憲法だから                52.5
    3.基本的人権、民主主義が保障されているから        26.6
    4.時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから 17.8
    5.改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから     27.3
    6.その他                         0.9
    7.DK.NA                          1.0
    0.非該当(Q19の答えが(1,3)の人)
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q20(41)戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法第9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法第9条について、今後、どうすればよいと思いますか。回答リスト13番の中から、1つだけあげて下さい。
 答え 1.これまで通り、解釈や運用で対応する            36.2
    2.解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する 30.7
    3.憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない     23.9
    4.その他                          0.3
    5.DK.NA                           8.9
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q21 憲法第9条の条文には第1項と第2項があります。それぞれについて、あなたが改正する必要があると思うかどうかを、順にお答え下さい。

S1(42)「戦争を放棄すること」を定めた第1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
 答え 1.ある 12.5   2.ない 81.6   3.DK.NA 5.9
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)

S2(43)「戦力を持たないこと」などを定めた第2項についてはどうですか。
 答え 1.ある 36.8   2.ない 54.5   3.DK.NA 8.6
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q22(44)日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、回答リスト14番の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
 答え 1.憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする    18.7
    2.憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする 22.1
    3.これまで通り、使えなくてよい             51.6
    4.その他                        0.3
    5.DK.NA                         7.3
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q23(45)政府は、国連のPKO、平和維持活動以外で、自衛隊を海外に長期間派遣するときには、その都度、特別な法律を作って対応してきました。あなたは、これを改めるために、自衛隊の海外派遣のルールを総合的に定めた新しい法律、いわゆる「恒久法」が必要だと思いますか、そうは思いませんか。
 答え 1.そう思う 46.0   2.そうは思わない 42.1   3.DK.NA 11.9
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q24(46)憲法は、国会の構成を衆議院と参議院の二院制としています。国会の二院制のあり方については、様々な議論がありますが、回答リスト15番の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
 答え 1.一院制にする                 18.8
    2.二院制を維持し、衆議院の役割や権限を強化する 12.5
    3.二院制を維持し、参議院の役割や権限を強化する 17.5
    4.今のままでよい                44.2
    5.その他                    0.3
    6.DK.NA                     6.6
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q25(47)憲法では、衆議院が可決した法案を、参議院が否決しても、再び衆議院が3分の2以上の多数で可決すれば、その法案は成立すると定めています。衆議院での再可決について、回答リスト16番の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
 答え 1.再可決は当然だ          9.7
    2.再可決はやむを得ない       35.6
    3.再可決はできるだけ避ける方がよい 33.8
    4.再可決は避けるべきだ       14.1
    5.DK.NA               6.8
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q26(48)憲法改正の手続きを定めた国民投票法は2年後に施行されます。昨年8月、憲法についての具体的な議論を行うための憲法審査会が国会に設置されました。あなたは、今後、各政党は、憲法に関する議論をさらに活発化させるべきだと思いますか、そうは思いませんか。
 答え 1.そう思う 70.8   2.そうは思わない 19.3   3.DK.NA 9.9
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q27(49)民法に定められている成人年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に見直すことを条件に、国民投票法では、18歳以上に憲法改正の投票を認めるとしています。あなたは、憲法改正の投票ができる年齢は、18歳以上がよいと思いますか、そうは思いませんか。
 答え 1.そう思う 36.2   2.そうは思わない 59.7   3.DK.NA 4.1
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

Q28(50;51 )日本の憲法について、あなたが、今の条文を改めたり、新たな条文を加えたりする方がよいと思うものがあれば、回答リスト17番の中から、いくつでもあげて下さい。
 答え 10.天皇の地位やあり方       14.1
    20.自衛のための軍隊保持      26.5
    30.積極的な国際協力        19.5
    40.行政機関の情報を知る権利    19.1
    50.個人情報やプライバシーの保護  17.7
    60.家族の尊重           12.7
    70.良好な環境で生活する権利    25.3
    80.緊急事態などへの首相の権限強化 13.0
    90.衆議院と参議院の役割      14.7
    01.国と地方の役割        22.1
    02.憲法裁判所の設置       5.1
    03.その他              0.2
    04.とくにない           24.4
    05.DK.NA              4.5
                       (2008.03.15-16)(2008.04.08)*

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

1件のコメント

  1. 非常に面白く読ませていただきました。友人4人に転送しました。

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