「毎日」、盧武鉉大統領へのインタビュー掲載

17日付「毎日新聞」が、韓国・盧武鉉大統領へのインタビューを掲載しました。それを読むと、盧武鉉大統領がしっかりした原則をもって自らの考えを話していることがよく分かりますね。以前、大統領選前に書かれた『私は韓国を変える』(青柳純一、青柳優子訳、朝日新聞社)を読んだときも、その点で非常に新鮮な印象を受けたことを覚えています。

韓国大統領 一問一答(毎日新聞)

韓国大統領 一問一答

 16日行われた盧武鉉(ノムヒョン)大統領と毎日新聞との会見の主なやりとりは次の通り。

◇謙そん寛大な日本が重要

《日韓関係》
 ――来年の日韓友情年は、国交回復から40年、韓国からみれば解放から60年を記念する重要な年です。日韓の政治家や国民はどのような姿勢で臨むべきですか。
 ◆来年は、もうひとつ意味がある。(日本が韓国を保護国化した1905年の)第2次日韓協約が結ばれてから100年だ。日韓関係において、過去と未来が持つ意味が包括的に含まれた特別な年だ。現在は、過去の歴史を克服し、建設的な未来を築いていこうとする意思を持つべき時代だ。悪い方向に逆行しないよう、何をなすべきか、(日韓の政治家と国民は)より深く考え認識を整理する必要がある。
 日韓関係にとって最も重要なことは、寛容と信頼だ。両国の国民感情を逆なでする事件が起きることもあるが、感情的な対立に発展させないよう寛容の姿勢が必要だ。
 感情を刺激し、信頼を害する行為のひとつが、時折、政治家が国民感情を害する発言をすることだ。政治家は、政治的利益のために国民感情を利用せず、未来に向け国民を誘導することが必要だ。
 隣国に対する寛容な態度、謙そんは、「強大国」にのみ可能だ。日本は、自他ともに認める「強大国」だ。謙そんし寛大な韓国も重要だが、謙そんし寛大な日本のほうが重要だ。

《北朝鮮制裁論》
 ――北朝鮮から、拉致被害者の横田めぐみさんらの遺骨として提供された骨が別人だったと判明し、日本国内で制裁論が高まっています。
 ◆今回の遺骨事件は、結果自体が日本国民に大きな衝撃を与えたと考える。私は、北韓(北朝鮮)の意図がどこにあるのか、まったく理解できない。すべての行為には公開された意図、隠された意図があるのが常だが、今回の行為は想像を絶する。もしかしたら意図された行為というより、過ちやミスで起きたのではないかとさえ考える。
 日本国民が衝撃を受けていることは理解するが、その対応にあたっては、より深く観察する必要がある。過ちやミスであれば、適切な解明を通じて誤解を解くことが大事だ。悪意によることが確実になった場合には、制裁もありうると考える。
 そういう意味において、小泉純一郎首相、日本政府がこの問題について慎重に冷静に対処していることは、適切な対応だと評価したい。

◇北朝鮮と忍耐強く対話を

《北朝鮮の核問題》
 ――北朝鮮の核問題解決に向け、韓国が主導的な役割を果たすための具体策はありますか。
 ◆核問題は韓(朝鮮)半島の安全保障とともに非核化合意にかかわるので、南北間の問題であると同時に、核大国が主導する秩序にかかわる。
 (この問題は)米朝関係を中心に動いており、主導的な役割を米国が握っているのは明らかだ。
 しかし、解決に至る途中で発生しうる状況は、韓国国民にとって生存がかかる深刻な問題だ。解決のプロセスで、韓半島の未来と韓国国民の利害が無視されてはならない。これまでの米朝交渉では、韓国の立場は十分に反映されてこなかった。
 6カ国協議のプロセスでは、韓国の立場、韓国国民の利害関係が反映されるという意味で、韓国が主導的、積極的な役割を果たしたいと考える。

《対話と圧力》
 ――北朝鮮への対応は、対話と圧力のどちらが重要だと思いますか。
 ◆米国の一部には、平和的解決を望んでいるが、不可能なら圧力を加えざるを得ないと強硬手段を強調する意見がある。しかし、まず対話を優先するという点においては異議を唱える人はいない。
 強硬手段や圧力によって問題を解決するのは難しいのではないか。無理に強硬手段で解決しようとすれば、大きな後遺症が残る。
 対話の可能性について、私は強硬論者と異なる認識を持っている。より忍耐心を持って真摯(しんし)に話せば解決できると思う。もちろん交渉では譲歩も必要だ。譲歩したとしても、圧力あるいは武力による解決手段よりもいい結果が出るだろう。
 しかし、話し合いが通じないこともある。その際には、やむを得ず圧力を選択することもありうるが、圧力行使において効果的なのは、中国とロシアが加わることだ。中露は北韓の核保有に絶対的に反対しているので、北韓が行き過ぎた態度をとれば、参加してくるだろう。

《南北首脳会談》
 ――南北首脳会談はどのような条件が整えば可能だと考えますか。
 ◆私としては、首脳会談は、いつでもどこでも形式にかかわらず歓迎する。しかし国民の前に政策として公表し、積極的に提起するのは別問題だ。可能性が低い政策を発表すると、国民が混乱する。
 首脳会談を望んでいないのではなく、可能性が低いと考える。
 今すぐ会うのであれば、核問題がテーマになると考えるが、金正日(キムジョンイル)総書記は、南北会談で核問題を取り上げられることを、有利ではないと判断するだろう。

◇反米感情沈静化してきた

《イラク派兵》
 ――日韓両政府ともイラク派兵部隊の1年延長方針を決めました。韓国国内に派兵反対論も強い中、延長した理由は何ですか。
 ◆米国のイラク攻撃が正当かどうか、二面性がある。フセイン独裁政権の人権侵害や残忍性から目をそらすことはできない。一方で、世界の人権問題について「強大国」が力で解決するのが適切なのかという指摘も妥当性を持っている。世界中で否定的世論が提起されているのは、「強大国」の一方的な行為に対する憂慮ではないか。
 韓国が派兵延長を決定したのは、米韓の特別な関係を考えたからだ。米韓関係のこれまでの歴史について賛否さまざまな意見があるが、安全保障、経済面で助けられているのも事実だ。長期的に韓国は米国との友好協力関係を維持、発展させる必要がある。
 米韓間の友好協力関係において最も重要なのは、両国の国民感情だ。米国が困った状況に置かれたのに支援しなければ、米国人が寂しく思うだろう。これは両国関係の未来のために重要な要素だ。
 韓国のイラク派遣部隊の役割は、イラク人と直接戦闘するのではなく、復興支援の役割を果たしており、いい評価を受けている。総合的に判断して、派兵延長を決めた。判断は間違っていなかったと考える。

《米政権への対応》
 ――2期目のブッシュ政権は対北朝鮮強硬策をとる可能性があります。どう対応するつもりですか。
 ◆2期目のブッシュ政権が、北韓の核問題などで強硬になるとの観測もあるが、私はそうは考えない。力による問題解決は経済的にも外交的にも負担が大きく、長期的にも後遺症を残すので、強硬な手段には頼らないとみている。総論的には、強硬な主張を維持しつつも、各論では穏健な話し合いを尊重する立場を取ると考える。

《対米感情》
 ――韓国国内には反米感情も強いようですが、米韓関係はどうあるべきだと考えますか。
 ◆韓国の反米感情は深刻ではない。むしろ、落ち着いてきている。イラク派兵反対の世論が強かったので反米と結びつける見方があるが、まったく別問題だ。
 反米感情は、不幸だった過去の経験、現在の米韓関係への不満などから生じている。これまで韓国は、米国に対する依存度が高く、大きな影響を受けた。国民の意識の中では、実際よりもさらに米国の影響は大きい。私が大統領候補の時、周辺から米国の暗黙の了解がなければ大統領になれないので対米関係を改善するよう、アドバイスされた。しかし、実際の影響力はそれほどではない。
 韓国政府が、必要以上に米国に対して弱い態度を取ってきた面もある。戦争が起きた場合の作戦統制権が米国側にあり、米韓地位協定が日本より不利な立場にある。首都の真ん中で、(植民地時代に日本の)朝鮮駐屯軍があった場所に在韓米軍の司令部が存在することが、国民のプライドを傷つけた。
 しかし、米韓関係は急速に改善されつつある。相互に尊重する健全な同盟関係に変わりつつある。[毎日新聞 2004年12月17日 3時00分]

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