呉儀副首相が帰国した原因…でしょうねえ、やっぱり

「呉儀副首相、アジア地域協力で講演」でも指摘したことですが、その後、武部・冬柴両与党幹事長の訪中での模様が報道されました。

たぶん武部幹事長は、あまりよく考えもせずに「内政干渉だ」と言ったのだろうと思いますが、日中平和友好条約で日中両国が「内政不干渉」を約束し合っている以上、確たる論拠もあげられないままの「内政干渉」発言はまったく不用意。さらに、日本がサンフランシスコ講和条約で連合国にたいして極東裁判判決を受け入れたことを根拠に、「A級戦犯を神として崇め奉ることが国内問題だというのか」と詰め寄られたのでは、だれも反論できないでしょう。

中国側は、日中関係をおもんばかって(日中関係を前向きに打開していくというのは、日中首脳会談での合意事項だから)、こうしたやりとりをメディアには公表しないことにしたのだと思います。さらに、もしこのまま呉儀副首相と小泉首相が会談しても、靖国問題で衝突することにもなりかねないと考え、「急用が出来た」という口実で会談を見送ることにした。このあたりが実情ではないでしょうか。

にもかかわらず、日本側で、与党幹事長代理が「非礼」だといい、外相が「常識はずれ」と言い出したのでは、もはや穏便にはすまないでしょう。もちろん、「中国となんかつきあわなくていい」と言うのは勝手です。しかし、またぞろここで日本側から「中国は非礼だ」と言い出したら、「日中関係を前向きにやっていこう」という合意を日本側から覆すことになります。そうなれば、日本という国は一貫した外交方針を守ることさえ出来ない国だと見られるだけ。町村外相や安倍幹事長代理、それになりより当の小泉首相ご本人は分かってらっしゃるんでしょうかねぇ…。

「内政干渉」発言に中国が反発 訪中の武部幹事長と応酬(朝日新聞)

「内政干渉」発言に中国が反発 訪中の武部幹事長と応酬

 自民党の武部勤幹事長が先の北京での中国共産党対外連絡部の王家瑞(ワン・チアロイ)部長との会談で、小泉首相の靖国神社参拝に対する中国側の非難を「内政干渉だという人もいる」と指摘、これに対し王氏が激しく反発していたことがわかった。与党関係者が24日、明らかにした。政府・与党内では、中国の呉儀(ウー・イー)副首相が23日に小泉首相との会談を当日になってキャンセルし、帰国した原因のひとつではないかとの見方が広がっている。
 関係者によると、武部氏は21日に行われた会談で、「首相の靖国神社参拝に対する中国側の批判は、内政干渉だという人もいる」と述べた。
 これに対し王氏は「それは(内政不干渉の原則を確認している日中平和友好条約の)新しい解釈なのか」と激しく反論。さらに、靖国神社にA級戦犯が合祀(ごうし)されていることを念頭に、「(A級戦犯という)国際的に決着したことを内政干渉の範囲に入れる解釈を、与党の幹事長がするのか」と詰め寄った。
 武部氏は、王氏の反論には直接には答えなかった。これ以外は会談は和やかに進み、こうしたやりとりがあったことは、公表しないことで双方が合意した。この内容は、23日に武部氏らから小泉首相にも報告されたという。
 これについて武部氏は24日の記者会見で、王氏とのやりとりについて「『世論調査等にみられる国民の考えの中に、相互内政不干渉がある』ということは話したが、私が内政干渉だと申し上げたわけではない」と説明。「約2時間の会談で、いろいろなやりとりがあったのは事実。率直な意見交換の後、最後には2国間関係を発展させることが大事だと一致した」と述べ、呉副首相の帰国との関係については「靖国問題が理由ではないと受け止めている」と語った。
 これに関連し、外務省幹部は24日、「相当激しいやりとりだったと聞いている」と語った。また、細田官房長官は同日午前の記者会見で、これが呉副首相の帰国の原因かどうかについては、「どういう影響を与えたのか、よく承知していない」と述べるにとどめた。[朝日新聞 2005年05月24日13時09分]

ところが、驚いたのはこのNHKニュース。中国側が、圧力をかけるために、わざと会談をキャンセルしたというのです。これでは、日本側があれこれ騒ぐまでは、中国政府は今回の事態を靖国問題と結びつけるような素振りも見せてなかった、という事実の説明がつかないでしょう。せめてその程度のことは考えて記事を書いてほしいものです(まあ、昨今のNHKのことだから、その程度のことは分かって、日本政府におもねる記事を書いた可能性はありますが)。

副首相帰国は靖国発言[NHKニュース]

副首相帰国は靖国発言

 中国の呉儀副首相が、小泉総理大臣との会談をキャンセルし、急きょ帰国した理由について、中国政府は、24日、緊急の公務に対応するためだという当初の説明を撤回し、靖国神社参拝をめぐる日本の指導者の発言に、強い不満を表明するためだったことを明らかにしました。
 これは、中国外務省の孔泉報道官が、24日の記者会見で明らかにしたものです。この中で孔報道官は、呉儀副首相が、23日、小泉総理大臣との会談をキャンセルし、急きょ帰国したことについて、「副首相が日本に滞在している間に、首相を含む日本の指導者が、靖国神社への参拝について、日本との関係改善に不利になるような発言を何度も繰り返し、会談にふさわしい雰囲気と条件が無かったからだ」と述べ、靖国問題をめぐって、強い不満を表明するためだったことを明らかにしました。
 また孔報道官は、中国側が、23日、日程変更の理由を、「緊急の公務に対応するためだ」と説明したことについて、「私はそのような言い方はしていない」と述べ、事実上、説明を撤回しました。中国政府のこうした対応の背景には、小泉総理大臣に靖国神社への参拝をやめるよう、強く迫るねらいがあると見られます。しかし、外交的に非礼とも言える方法をとったことについて、日本側では反発が広がっており、日中関係は、今後さらに冷え込むことも予想されます。[NHKニュース 05/24 18:56]

追記:
まあ、結論として、細田官房長官のこういう態度の方が理に適っていると思いますね。内閣一体ですので、町村外相も一致した態度をとってほしいものです。

会談キャンセル「コメントせず」 細田長官(東京新聞)

会談キャンセル「コメントせず」 細田長官

 細田博之官房長官は25日午前の記者会見で、中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルした問題について「これ以上コメントすることは、日中関係にとって生産的でないと判断し、コメントは控えたい」と述べた。こうした認識は首相とも共有していると強調した。
 中国当局は24日、会談キャンセルの理由について「緊急の公務」との説明を撤回。首相らの靖国神社参拝をめぐる発言が理由であることを認めた。日中双方がこの問題で応酬を重ねれば、両国間の亀裂をより大きくするため、日本政府として、中国側の責任は不問にする姿勢を示したものだ。[東京新聞 2005年5月25日夕刊]

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