アラ還のオッサンがマルクスの勉強やらコンサートの感想やらを書き込んでいます

白川静氏の怒り

2005年5月30日 at 21:55:58

哲学者の梅原猛氏が、今日の「東京新聞」夕刊の「思うままに」で、『字統』など漢字の研究で有名な白川静氏の文化勲章受章の祝賀会の話を書かれています。

 最後に、めったに現代政治のことを語らず、人の悪口をいわない白川氏の口から人の悪口が漏れた。それは靖国参拝をやめようとしない小泉首相への批判である。「罪を憎んで人を憎まず」という孔子の言葉を引用して靖国参拝をやめようとしない小泉氏に白川氏はよおど腹の虫がおさまらなかったのであろう。首相の靖国参拝はあの戦争でひどい目にあった中国人の心を深く傷つけるものであるが、その行為を孔子の言葉を用いて弁解するなどとは言語道断であり、日中の友好関係に致命的な打撃を与えるものと氏は思ったのであろう。[東京新聞 2005年5月30日夕刊]

「罪を憎んで人を憎まず」というのは、被害者が加害者に向かっていう言葉であって、加害者の側が被害者に向かっていう科白ではありません。ご本人は、孔子を引き合いにだせば中国だって反論しにくかろう…と思ったのか、あるいは、自分の知識をひけらかしたかったのか分かりませんが、まったくもって「言語道断」というほかありません。

ところで、梅原氏はさらに続けて、次のように書いておられます。

 私は、思わずこの大碩学の口から出た小泉首相批判をもっともであると思う。たとえば麻原彰晃は二十七人を殺したとされる。その麻原を小泉首相は憎まず、麻原が死ねばその墓に参ろうと思うのであろうか。あの無謀な戦争で何百万という日本人を含む東アジア人を殺した東条英機は考えようによっては麻原以上の悪人である。そのような人が祀られる神社に二度と戦争をしないと誓って参拝するのはまったくナンセンスで、とても国際的に通用する話ではない。[同前]

まったく同感です。

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2 Responses to “白川静氏の怒り”

  1. 数日前にトラックバックさせていただいた者です。
    「『罪を憎んで人を憎まず』という孔子の言葉」について、本日の朝日朝刊「私の視点」にて、
    中国文学者の一海知義さんという方が次のように述べています。
    「これを聞いて驚いた、私は五十数年来、専門の対象として中国古典を読んできたが、孔子がこんなことを言っているとは知らなかったからである。少なくとも、信頼できる文献には見当たらない」
    つまり「罪を憎んで人を憎まず」というのが孔子の言葉だというのは、単なる小泉の妄想だということです。私もすっかり小泉に騙されてしまいました。マスコミはこういうことをもっと取り上げるべきですね。

  2. >ノンポリさん、こんにちは

    ご教示ありがとうございました。一海知義先生の「私の視点」は、見過ごしておりました。一海先生は、漢詩に大変造詣の深い先生なだけに、この指摘はとても重みがありますね。

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