首相の靖国参拝、大阪高裁が違憲判決

小泉首相の靖国参拝について、昨日、今日と、東京と大阪で高裁判決が出されました。そのうち、大阪高裁の判決は、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法違反の判断を下しています。

「首相の靖国参拝は違憲」大阪高裁判決、賠償は認めず(朝日新聞)
首相の靖国参拝訴訟、東京高裁「私的参拝」と認定(読売新聞)

で、高裁レベルで、初めて違憲判断が出たことにたいし、官邸周辺は大あわてをしているようす。

高裁判断は大変遺憾 細田官房長官(中国新聞)
今回の判決、絶対とは言えぬ…違憲判決に政府筋(読売新聞)
首相「靖国参拝、なぜ憲法違反か理解に苦しむ」(日経新聞)
司法判断まっぷたつ 首相の靖国参拝(朝日新聞)

↓こっちが、30日の大阪高裁判決についての記事。

「首相の靖国参拝は違憲」大阪高裁判決、賠償は認めず
[朝日新聞 2005年09月30日13時20分]

 01年から03年にかけての3度にわたる小泉純一郎首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとしたうえで、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。一方で、信教の自由などの権利が侵害されたとは言えないとして、原告らの控訴を棄却した。
 小泉首相の靖国参拝をめぐる訴訟の判決は、全国の6地裁と2高裁で計9件言い渡されており、いずれも賠償請求を退けている。このうち昨年4月の福岡地裁判決が違憲判断を示したが、高裁の違憲判断は初めて。過去には中曽根康弘元首相の靖国神社公式参拝について、大阪高裁が違憲の疑いがあるとする判決を出している。
 今回の訴訟の対象になったのは、小泉首相の昨年までの4回の参拝のうち、01年8月13日、02年4月21日、03年1月14日に行ったもの。
 判決はまず、参拝が首相の職務にあたるかを検討。公用車を使用し首相秘書官を伴っていた▽公約の実行としてなされた▽小泉首相が私的参拝と明言せず、公的立場を否定していなかったこと――などから、「内閣総理大臣の職務と認めるのが相当」と判断した。
 さらに、3度にわたって参拝し、1年に1度の参拝をする意志を表明するなど参拝実施の意図が強固だったと認定。「国と靖国神社の間にのみ意識的に特別にかかわり合いを持ち、一般人に国が靖国神社を特別に支援している印象を与えた」とした。
 そのうえで、参拝の効果について「特定の宗教に対する助長、促進になると認められ、我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超える」として、憲法20条3項の禁止する宗教的活動にあたると結論づけた。
 一方で、首相の参拝が原告らに対して靖国神社への信仰を奨励したり、その祭祀(さい・し)に賛同するよう求めたりしたとは認められないと指摘。原告らの権利や利益は侵害されていないと判断し、損害賠償請求は一審に続いて退けた。
 訴訟は、台湾立法院議員で原住民族「タイヤル族」の高金素梅さん(40)らが参加し、03年2月に起こされた。原住民族の中には第2次大戦中に日本軍のもとで戦った戦没者の遺族も含まれ、「日本の植民地支配で被害を被っており、戦前日本の精神的支柱である靖国神社への首相の参拝で苦痛を受けた」などと主張した。
 昨年5月の一審・大阪地裁判決は、首相が3回の参拝で公用車を使ったり、秘書官を同行させたりした点について「緊急事態や警備のため」と指摘し、首相の職務行為に当たらないと判断。参拝で原告らが不利益を被ったとは言えないとして、憲法判断に踏み込まないまま原告の請求を棄却した。原告はこれを不服として控訴していた。
 靖国神社は「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出した。
    ◇
 《判決骨子》
 ◆職務行為性
 小泉首相の靖国神社参拝は内閣総理大臣としての職務でなされた。
 ◆違憲性
 小泉首相の3度にわたる参拝で、国は靖国神社との間で特別のかかわり合いを持った。特定の宗教を助長し、相当とされる限度を超えており、参拝は憲法が禁止する宗教的活動にあたる。
 ◆法的利益の侵害
 参拝で、原告らの信教の自由などを根拠とする権利、利益について強制や干渉、権利の侵害があったとは認められない。

↓こっちは、29日の東京高裁判決についての記事。

首相の靖国参拝訴訟、東京高裁「私的参拝」と認定

 2001年8月の小泉首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反しているとして、千葉県内の戦没者遺族や宗教家ら39人が、小泉首相と国に一人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は29日、請求を棄却した1審・千葉地裁判決を支持、原告の控訴を棄却した。
 浜野惺(しずか)裁判長は「参拝は個人的な行為の域を出ない」と述べ、私的参拝と認定した。原告は上告する方針。
 1審判決は公的参拝と認定したが、2審は<1>2001年8月15日に予定していた参拝を、公的参拝と受け取られないよう同13日に変更した<2>献花代を私費で負担<3>内閣総理大臣と記帳したのは肩書を付したにすぎない――などとして、政教分離原則には違反しないと判断した。
 ただ、「公的参拝であれば違憲の可能性がある」とも指摘した。
 小泉首相の靖国神社参拝が違憲かどうかが争われた訴訟で、高裁レベルの判断は、今年7月の大阪高裁判決に続き2件目。同判決は、参拝が公的か私的かの判断も示さず、請求を棄却していた。[2005年9月29日20時51分 読売新聞]

官邸周辺の反応。

高裁判断は大変遺憾 細田官房長官

 細田博之官房長官は30日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を憲法違反とした大阪高裁の判断について「基本的には国の勝訴だが、小泉首相は私的参拝だと言ってきており、判決は大変遺憾だ」と述べた。
 今後も首相が靖国参拝を続けるかどうかに関しては「私人としての参拝であり、影響されるか、されないか分からない」と指摘。29日には、首相の参拝を私的と判断した東京高裁の判決が出ていることから「昨日、きょうで別々の判断が出ており残念だ。これからも係争中のものがあるので見守っていきたい」と述べた。
 首相官邸で記者団の質問に答えた。[中国新聞 First upload: 9月30日13時21分]

今回の判決、絶対とは言えぬ…違憲判決に政府筋

 小泉首相の靖国神社参拝について、政府は「小泉首相が私人の立場で神社、仏閣に参拝することは自由だ」との立場を取っており、今回の判決に対しても、この考えを維持する構えだ。これに関連し、政府筋は30日昼、「裁判官によっても判断が違う。今回の判決が絶対とは言えない」と語った。
 今回の判決では、小泉首相の参拝を職務行為と判断した根拠について、公用車の使用や、「内閣総理大臣」との記帳などを挙げた。だが、福田内閣時代の1978年、当時の安倍晋太郎官房長官は国会答弁で、〈1〉記帳で肩書を記すことはできる〈2〉警備上の都合や緊急時の対応のため公用車を利用できる――との政府見解を示している。政府は、この見解を踏襲することで、首相の参拝は「私的参拝」であるとの考えを示している。
 首相は2001年8月13日の靖国神社参拝以来、祭壇の前で一礼し、供花料を私費で納める方式をとっている。二礼二拍手一礼の神道方式の参拝は避けており、「憲法20条には抵触しない」(政府筋)との立場だ。今回の判決が首相の判断に大きな影響を与えることはなさそうだ。(2005年9月30日13時49分 読売新聞)

首相「靖国参拝、なぜ憲法違反か理解に苦しむ」

 小泉純一郎首相は30日の衆院予算委員会で、大阪高裁が首相の靖国神社参拝に違憲判断を示したことについて「憲法違反であるとは思っていない。首相の職務として靖国参拝しているわけではない。それがどうして憲法違反なのか、理解に苦しむ」と語った。民主党の松本剛明氏の質問への答弁。(NIKKEI.NET 2005/09/30 14:58]

司法判断まっぷたつ 首相の靖国参拝
[朝日新聞 2005年09月30日15時03分]

 首相の靖国神社参拝をめぐる司法の判断は、1日違いでまっぷたつに分かれた。「国内外の強い批判を押し切って参拝を続けた首相の行為は、憲法の禁じる宗教的活動にあたる」と明快に位置づけた30日の大阪高裁判決は、憲法判断に踏み込まなかった29日の東京高裁判決とは対照的な判断となった。参拝推進派の国会議員から反発がでる一方、原告や支持者らから評価する声があがり、立場の違いで反応も割れた。「毎年参拝」を表明する小泉首相は厳しい選択を迫られる。
 この日は小泉首相ら閣僚が出席して衆院予算委員会があった。午前中の質問者は自民、公明の与党議員だけだったこともあり、靖国問題には触れないまま午前の審議を終えた。
 8月15日に靖国神社に参拝した小池環境相は休憩時間に、「司法の判断ですから。(私の立場では)コメントできません」とだけ話した。
 自民の奥野信亮衆院議員は「いまの日本があるのは明治以来、国のために貢献してきた人たちがいるから。その人たちを祭るのも、参拝するのも当然。日本人の代表の首相が参拝するのは当然だ。それがいまの憲法に反するというのなら、憲法の方を変えるべきだ」と話す。
 今夏は総選挙の準備のため機会がなかったが、自らも毎年、参拝しているという。
 「一裁判の判決だけで論ずるのではなく、国が築かれた歴史を学んだ上で、日本人全体の問題として国民的な議論をすべきだ」とも話す。
 閣僚経験がある自民のベテラン議員は、「あえて私人としての参拝を明確にしない首相の責任は重い」と指摘する。過去に自分も参拝したが、いずれも私人と明言し、秘書らも同行させなかったという。「今回の判決が悪影響を生むことを懸念している」とも述べた。
 「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の会長を務める瓦力氏の事務所は「個別のことでコメントは出さない」としている。
 一方、共産の佐々木憲昭氏は「判決は当然だと思う。総理大臣は国の代表であり、個人の立場との区別はできない。本人が意識のなかでどう思おうと、客観的に総理大臣であることには変わりがない」と国会内で話した。
         ◇
 原告側は大阪市北区の大阪司法記者クラブで会見した。弁護団事務局長の中島光孝弁護士は「結果は棄却だが、内容は相当踏み込んだ判断で、画期的な判決だ」と評価した。
 台湾立法院議員で、台湾の原住民族「タイヤル族」の高金素梅さん(40)は「小泉首相は憲法に基づいた行動をとらなければならない。憲法を守り、二度と参拝するべきではない」と、この日の高裁判決を尊重するよう強く求めた。「違憲かどうかは日本人の問題で、私たちにとってはさほど大きな問題ではない。関心があるのは、日本の反省、謝罪、賠償だ。そして、靖国神社に合祀(ごうし)されている祖先の霊を返してほしい」と語った。

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