トヨタ、QC活動に残業代

トヨタ自動車が、QCサークルの活動に残業代を支払うことを決めました。

QC活動は、事実上、会社側が強制しているにもかかわらず、これまで「従業員の自主的な活動」として、残業代を支払ってきませんでした。しかし、昨年11月、名古屋地裁で、QC活動の時間も「業務」と認定し、元従業員が急死したのは過労死だったとする判決が下され、確定しています。

トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から(朝日新聞)
トヨタ QC活動に全額残業代(NHKニュース)

トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から
[asahi.com 2008年05月22日03時00分]

 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。労働組合も了承しており、6月1日から実施する。
 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。
  トヨタが「業務」と位置づけるのは、生産現場の従業員がグループ単位で改善提案に取り組むQCサークル活動。従業員のアイデアや知恵を引き出す「カイゼン」活動を支える中心的な取り組みで、64年から半世紀近く続いている。国内の生産現場の全従業員約4万人の全員参加が原則で、現場の工夫を収益向上に結びつけるトヨタ躍進の原動力だった。
 現在、トヨタはQC活動を支援する名目で月2時間まで残業代を支給するが、2時間を超える賃金は原則支払っていない。しかし、QCの活動成果が人事評価の対象にされている実態があり、社員やその家族から「事実上強制された業務」との声が上がっていた。
  昨年12月には、愛知県豊田市の堤工場の元従業員の男性(当時30)が急死したのは過労死だったと認める名古屋地裁判決が確定。判決は、QC活動の時間も「使用者の支配下における業務」と指摘していた。この男性は亡くなる直前の4カ月間で16時間をQC活動にあてていたが、実際は土日や有給休暇もつぶして資料作成などでサービス残業をしていたとされる。
 自動車・電機など製造業を中心に国内で3万以上のQCサークルが活動しているとされる。業務なのか自主的な活動なのか線引きが不明確と指摘されていたが、トヨタは明確に業務と位置づける。
 トヨタは、打ち切り上限の撤廃で「総額人件費の増加は避けられない」(幹部)見通し。QCに対する全員参加の意識が薄れ、一部の従業員の負担が増すといったひずみも出ている。そのためトヨタは活動を簡素化し月2時間以内におさめるように従業員に促す方針だが、QCサークルは国内だけで5千前後ある。実際に方針を現場に徹底させ、労働時間短縮につながるかどうか不透明な部分も多い。(大日向寛文)

     ◇

 〈カイゼン〉 徹底的に無駄を省くトヨタ生産方式の核をなす考え方。作業時間を縮めたり、工具に改良を加えたり、工場の従業員を含めた全員参加で取り組む。日本の製造業の強さの源泉とされる。QCサークル活動はカイゼンを支える手法で、欧米でも普及が進む。トヨタのQCは、国内の生産現場の全従業員約4万人を8人前後でグループ化し展開する。所定外労働時間で行うのが一般的。QCは、品質管理を意味する英語(Quality Control)の略。

トヨタ QC活動に全額残業代
[NHKニュース 5月22日 7時38分]

 トヨタ自動車は、社員が自主的に業務の改善を提案するサークル活動、いわゆるQC活動について、来月から原則として業務と認め、残業代を全額支払うことになりました。
 トヨタが残業代を支払うことにしたのは、品質の向上や業務の効率化に向けたいわゆる「カイゼン」の一環として生産現場の従業員がグループ単位で提案に取り組むサークル活動です。この活動は、QC活動と呼ばれ、トヨタはこれまで社員の自主的な取り組みとして残業代の支払いは1か月に2時間までと上限を設けていました。これについて、トヨタは、活動にかける時間を極力少なくするように見直したうえで、来月からQC活動を原則として業務と認め、残業代を全額支払うことになりました。ただ、事前に上司に申請するなどの手続きが必要になるということです。
 QC活動については、去年11月、名古屋地方裁判所が、トヨタの従業員が工場で倒れて死亡したことをめぐる裁判で業務と見なしたうえで過労死と認め、労災認定をする判決を言い渡していました。QC活動は、自動車や電機などの企業で広く行われていて、トヨタが業務と認めて残業代を支払うことにしたことで、ほかの企業の対応にも大きな影響を与えそうです。

QC活動の残業で過労死したのは、トヨタ自動車堤工場(愛知県豊田市)で働いていた内野健一さん。豊田市の労働基準監督署が、トヨタに忠実に、「場にいた時間すべてが時間外労働時間ではない」として過労死認定を拒否したのにたいして、妻の博子さんが、業務外決定の取り消しを求めた裁判での判決。海外メディアでも、大きな話題になりました。

トヨタ社員は過労死/名古屋地裁 「時間外に無償労働」(しんぶん赤旗)
トヨタの過労死問題/海外マスコミが報道(しんぶん赤旗)

トヨタ社員は過労死/名古屋地裁 「時間外に無償労働」
[2007年12月1日 しんぶん赤旗]

 トヨタ自動車堤工場(愛知県豊田市)で働いていた内野健一さん=当時(30)=が2002年、残業中に倒れ死亡したのは過労が原因として、妻・博子さん(37)が豊田労働基準監督署長を相手に、業務外決定の取り消しを求めた裁判で、名古屋地方裁判所(多見谷寿郎裁判長)は30日、原告側の請求を全面的に認める判決を下しました。
 裁判では、労基署長の時間外労働時間の認定方法の是非、トヨタ自動車における無償労働(隠れた業務、QCサークル活動、創意工夫提案活動など)の業務性の判断などが争点となりました。
 判決は、労基署長の「工場にいた時間すべてが時間外労働時間ではない」との主張を退け、直前1カ月の残業を106時間45分と認定しました。QC活動などについても、仕事改善の活動で「事業者の支配下による業務」と明確に認定。健一さんの労働の質の高さ、夜勤の疲労蓄積なども認定しました。
 水野幹男氏ら弁護団は「労働の時間、質ともに原告の主張を認めた素晴らしい判決」「国は控訴せず判決を確定してほしい」と述べました。
 博子さんは「夫は会社の利益のための活動で倒れたと裁判所が認めてくれた。トヨタは利益以外のことで世界に認められる会社になってほしい」とあいさつしました。
 博子さんは、労基署長に対する労災申請で、健一さんが倒れる直前1カ月の残業時間を144時間35分と算出して申告。しかし署長は「死亡直前の時間外労働は45時間余にすぎず、過労死とは認められない」として、遺族年金を不支給処分としていました。

トヨタの過労死問題/海外マスコミが報道
[2007年12月12日 しんぶん赤旗]

 トヨタ自動車での過労死問題を海外マスコミがこのところ相次いで報道、「GMにかわって世界一になろうとする日本の自動車企業」で、過労死にいたる異常な労働慣行があると告発されています。
 トヨタ自動車で働いていた夫の内野健一さんが過労死した事件の裁判で、原告の妻、博子さんが先月末、名古屋地裁で全面勝訴したことは、ロイターやAP通信、CNNテレビなど海外マスコミが一斉に報じました。その後も、トヨタの労働慣行に注目した海外マスコミが内野さんらの告発の内容を詳しくとりあげ、掘り下げて報道するようになっています。
 ロイター通信は5日、内野さんが外国特派員協会でおこなった記者会見をもとに詳しいリポートを配信。CNNテレビや世界の自動車関連メディアが一斉に報道しました。
 同通信は、内野さんが100時間以上の「サービス残業」を無償でおこなっていたことなどを特筆。「慣例化されたサービス残業で苦しんでいる人がたくさんいます。これが2兆円の利益に貢献しています。トヨタが発展を続けるなら一部でも還元してほしい。それでこそ世界一です」との博子さんの発言を引用。「労働者が企業のために私生活や幸福まで犠牲にするよう求められることがあまりにも多い」と書いています。

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