土壌の汚染除去―東京23区の2倍以上の面積で必要

東京電力の福島原発事故で、チェルノブイリ原発事故のさいに居住禁止になった区域と同レベルの土壌汚染地域が、福島県内600平方kmにわたっていることが分かったというニュース。

東日本大震災:福島第1原発事故 土壌汚染、県内600平方キロに――NUMO研究員:毎日新聞

600平方kmというと、ほぼ東京23区に匹敵する面積。そのほかに農業禁止となった区域と同じレベルの土壌汚染地域が700平方kmあって、あわせると1300平方kmになる。

先日の講義で、不破さんは、原子力発電は、<1>原子炉の構造がそもそも不安定、<2>使用済み核燃料の後始末ができない「未完成」で危険な技術と指摘したけれども、1300平方kmもの土壌の汚染除去が必要というのは、まさに放射性廃棄物の後始末ができないという原発の根本的欠陥が大規模に現われたものではないだろうか。

もちろんいま避難している人たち、これから避難しなければならない人たちがもとの土地に戻るためには、土壌汚染の除去は絶対にやらなければならない作業だ。また、土壌汚染の除去には、確かに、表面を土をはがして上下入れ替えるという方法は有効だと言われている(地下水汚染の危険性は残るが)。

しかし、小学校のグラウンドぐらいならまだしも、東京23区の2倍以上の面積の土地を、すべて表土をはがして上下を入れ替えるとなると、いったいどれほどの作業量になるだろうか。そこには山もあれば森もある。川もあれば池もある。「原因者負担」の原則からして、東電がその費用を負担するのは当然だが、いったい費用はいくらかかるのか、期間はどれくらいかかるのか。

あらためてそう考えると、今回の事故がどれほど大きな事故であるのか、ということがリアルに迫ってくる。

東日本大震災:福島第1原発事故 土壌汚染、県内600平方キロに――NUMO研究員

[毎日新聞 2011年5月25日 東京朝刊]

◇チェルノブイリ居住禁止区域と同レベル

 東京電力福島第1原発事故で、原子力発電環境整備機構(NUMO)の河田東海夫フェローは24日、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)の定例会で、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)で居住禁止となった区域と同レベルの土壌汚染が、福島県内で約600平方キロにわたり広がっているとの推計値を報告した。河田氏は「大規模な土壌改良が不可欠だ」との見解を示した。
 チェルノブイリ原発事故では、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の土壌汚染地域約3100平方キロを居住禁止、同55万〜148万ベクレルの地域約7200平方キロを農業禁止とした。
 河田氏は、文部科学省が作成した大気中の放射線量地図を基に、福島県内で土壌中の放射性物質「セシウム137(半減期30年)」の蓄積量を算定した。その結果、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の地域は、東京23区の面積に相当する約600平方キロ、同55万〜148万ベクレルの地域は約700平方キロあり、それぞれ複数の自治体にまたがっている。
 チェルノブイリ事故では年間5ミリシーベルトの被ばくを居住禁止の基準とした。自然に被ばくする線量は世界平均で年間2.4ミリシーベルト、ブラジルやイランの一部地域では同10ミリシーベルトに達していることを考慮すると厳しかった。今回の事故で政府は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を基に空間線量年間20ミリシーベルトを避難地域の基準にしている。河田氏は「福島では土の上下を入れ替えるなど、対応をしっかりすれば避難者は戻ることが可能」と話している。【比嘉洋】

河田氏の報告は、あくまで推計だ。土壌汚染の除去にむけては、まず汚染の実態をより詳しく、現地で測定するなどして調べることが求められる。しかし、現在までのところ、政府も東京電力も、そうした汚染実態の詳細な調査をまったくおこなっていないし、やろうとさえしていない。

原発事故の収束に全力をあげるのは当然だが、汚染実態の詳細な調査も早くおこなうことが求められる。東京電力や原子力安全・保安院だけでなく、関係する大学・研究機関、メーカー、研究者、技術者の総力を結集して、「いま、原発事故の汚染はどうなっているのか?」 それを詳しく、かつできるだけ早く調べて、国民の前に、何より原発事故のために避難せざるを得なくなっている住民の方々に報告することが必要なのではないだろうか。文字通り、日本の科学・技術の総力を集めれば、それはけっして不可能な課題ではないと思うのだが。

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