やっぱり生命はタンパク質の存在様式だ!!

永田和宏『タンパク質の一生』(岩波新書)

「生命とは、タンパク質の存在様式である」とはエンゲルスの言葉 ((正確には、「生命とは蛋白体〔Eiweißkörper〕 の存在の仕方である。そして、この存在の仕方で本質的に重要なところは、この蛋白体の化学成分が絶えず自己更新を行なっている、ということである」(エンゲルス『反デューリング論』新日本出版社、古典選書シリーズ<上>、118ページ)。タンパク質はドイツ語でProteinもしくはEiweißstoff。EiweißkörperのEiweißは卵の白身という意味、Körperは「物体」「肉体」という意味、あるいは「気体」「液体」という場合の「体」に相当する語なので、直訳すれば文字どおり「蛋白体」です。エンゲルスは、これに続けて、「蛋白体とは、ここでは現代化学上の意味に解している。そして、現代化学は、この名前のもとに、普通の卵白に似た組成をもったすべての物質――別名でプロテイン物質とも言われている――を総括している」(同前)と言っているので、ここではエンゲルスが蛋白体=タンパク質の意味で使っていることは明白です。))ですが、この本を読むと、あらためて、“生命ってタンパク質なんだなぁ〜”と実感します。

DNAの2重らせん構造とか、DNAの4つの塩基コードがRNAに転写され、それにしたがってアミノ酸が合成され、そのアミノ酸が結びついてタンパク質がつくられる――高校の生物で習ったのは、まあだいたいこのあたりまで。しかし実際にはそんな単純ではなかったのです。

アミノ酸がずら〜〜っとつらなったもの(ポリペプチド)が、くねくねと折りたたまれて3次元の構造をとって、初めてタンパク質として活動するようになります。そのときに、ポリペプチドがうまく折りたたまれるのを助ける特別のタンパク質が、また存在しているのです。つくづく生命って、よくできてますねぇ〜 (^_^;)

しかもたまには、変なところで折りたたまれてしまうものもあったりして、細胞内には、ちゃんとそういう“失敗作”を解きほぐして、もう一度正しく折りたたまれるようにするシステムまで存在するのです。また、「遺伝病」と考えられているもののなかには、このタンパク質の“つくり損ない”が原因となっているものもあるそうです。

最近は、そうしたメカニズムにまで、詳しく分かっているんですね。あらためて、生命というのがタンパク質のあり方だということがよく分かりました。m(_’_)m

【書誌情報】
著者:永田和宏(ながた・かずひろ)/書名:タンパク質の一生――生命活動の舞台裏/出版社:岩波書店(岩波新書 新赤版1139)/発行:2008年6月/ISBN978-4-00-431139-3/定価:本体740円+税

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

2件のコメント

  1. はじめまして。
    「生物史から、自然の摂理を読み解く」よりトラックバックさせていただきました。

    本格的なブログですね。
    また訪問させていただきます。

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