福島の農民ら東電本社に抗議

一昨日、マスメディアでも大きく取り上げられた、福島県の農家のみなさんによる東京電力への抗議行動。実は、農民連(農民運動全国連合会)が呼びかけたものだったんですね。

「原発を止めてほしい」「もとの土を返してほしい」――本当に心に迫る訴えです。

福島第1原発:福島の農民ら350人 東電へ抗議:毎日新聞

そして、メディアではいっさい報道されませんでしたが、農水省交渉のあと参議院議員会館で開かれた決起集会には、日本共産党の志位和夫委員長が参加して激励のあいさつをおこなっています。

原発事故―「人災」と認め、全面賠償・仮払いを 志位委員長のあいさつ:しんぶん赤旗

志位さんが提起したのは、次の3つ。

福島原発事故が「人災」であること、事故の原因が東京電力と、その東京電力をきちんと監督・指導してこなかった政府にあることをはっきりと認めされること。
原発事故によって発生したあらゆる被害・損害について、勝手な「線引き」を許さず、全面的に賠償させること。
現にいま原発事故で「生活がたちゆかない」「商売が続けられない」という被害・損害にたいして、ただちに「仮払い」をおこなって、被害者の生活を支えてゆくこと。

1番目は、事故の責任を明確にさせる――「想定外の地震・津波」のせいにしてはならないということです。2番目は、原発から半径何キロとか、何ミリシーベルト以上とか、あるいは「風評被害」かどうか、などで、国や東電に勝手な「線引き」を許さない、ということです。3番目は、7月に出るといわれている国の原子力損害賠償紛争審査会の「指針」をまって、それから被害救済を始めるのではなく、まずいま生活に困っている、経営に困っているという人にたいして、実態に合わせて損害の補償をすすめるということです。そうしなければ、これからますます多くの人が生活や経営に行き詰まり、困難の度合いが増していくのだから、結果的には、早期に「仮払い」をすすめた方が、それだけ復旧・復興もすすむということです。

福島第1原発:福島の農民ら350人 東電へ抗議

[毎日新聞 2011年4月26日 19時16分(最終更新 4月26日 19時51分)]

 もう犠牲者を増やさないで――。福島第1原発事故で避難や出荷停止に追い込まれた福島県の農家ら約350人が26日、東京都千代田区の東京電力本店前で、謝罪と賠償を求めて抗議活動をした。原発災害を苦に先月、自ら命を絶った福島県須賀川市の専業農家、樽川清志さん(当時64歳)の妻美津代さん(61)も遺影を胸に参加。「原発を止めて。それが夫の願い」と涙ながらに訴えた。
 「東電への抗議の死だったと思うんです。土作りに人一倍力を入れていたから……」。デモの途中、別棟で農家代表ら約20人と面会した東電の補償担当社員に、美津代さんは言った。
 清志さんは減農薬農業を手がけ、丹精込めて栽培したキャベツを学校給食用に納めていた。小学校で食育の出前授業をしたこともあった。だが、原発事故がすべてを変えた。原子炉建屋の水素爆発を報じるニュースを食い入るように見つめ、「福島の農業はもうおしまいだ」とつぶやく夫の姿を、美津代さんは覚えている。
 3月23日、政府は福島県産野菜の出荷停止を発表。翌朝、清志さんは自宅そばで首をつった。遺書はなかった。
 抗議活動は「農民運動全国連合会」(東京)が主催し、千葉や茨城など、風評被害に悩む関東地方の農家も牛2頭をトラックに乗せて参加した。「社長を出せ」「古里を返せ」。損害賠償の見通しを尋ねる参加者に、東電側は「持ち帰り検討させていただく」と繰り返した。美津代さんは「夫の思いは伝えた。誠意ある答えがほしい」と、オフィス街を後にした。【阿部周一】

原発事故―「人災」と認め、全面賠償・仮払いを 東電・国への請求行動:志位委員長のあいさつ

[2011年4月27日 しんぶん赤旗]

 26日、東京都内で開かれた東京電力と国に対する「東電は全面的に償え」抗議・賠償請求行動で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった激励あいさつは以下の通りです。

原発事故を起こした東電と国に強く抗議する

 日本共産党を代表して心からの連帯と激励のごあいさつを申し上げます。
 全国の農民連のみなさん、被災地の農民連のみなさんが、自らも被災されながら、被災者のみなさんに支援物資を届け、お米を届け、野菜を届け、救援の先頭に立ってこられたことに、心からの敬意を申し上げます。(拍手)
 巨大地震、大津波にくわえ、原発事故の被害が、きわめて深刻です。私も福島県の飯舘村と南相馬市にうかがい、故郷を奪われていることの無念さをひしひしと感じました。農業被害の実態についても、本当に痛切な訴えが寄せられました。ホウレンソウの出荷停止になった農家からは「種代や肥料代などで毎月20万円もの請求がくる。しかし無収入で払えない」という強い訴えがありました。原乳の出荷停止になった農家からは「毎日えさをやり続け、牛の世話をし、搾乳して、その搾った乳を畑に捨てなければならない」という無念の思いが寄せられています。
 まず、この深刻な大事故を起こしたことに対する強い抗議の声を、みなさんとともに東電および政府に対して突きつけたいと思います。(大きな拍手)

原発事故は「人災」だと認めさせるたたかいを

 今後の問題ですが、まずは国内外のあらゆる知恵と力―専門家、研究者、技術者すべての力を結集して福島原発の危機を収束させて、これ以上放射能による被害の拡大を許さないことにすべての力を傾注するべきだということを、私たちは政府に強く求めています。
 それを大前提にして、みなさんとともに、次の三つの点を緊急に求めていきたいと考えております。
 第一は、福島原発事故が「人災」だということ、そして事故の原因が東電、東電をきちんと監督・指導してこなかった政府にある、このことをはっきり認めさせることです。(「そうだ」の声、拍手)
 東電はいまだに「人災」だということを認めません。いまだに「想定外」ということを平気でいっている。政府は「これまでの対策が甘かった」ということまではいいますが、はっきり「人災」だとはいいません。「人災」だということを認めさせるたたかいが大事です。(大きな拍手)
 福島県の市民団体と党県委員会、日本共産党の国会議員団が、くりかえし警告してきた。大地震と大津波が同時に来たら鉄塔が倒れて外部電源がなくなる、水をかぶって内部電源もなくなる、全電源喪失という事態になって炉心が溶けて大事故になると、2005年以来ずっと言い続けてきました。その警告を無視してきた。ですからこの事故は「自然災害」でも「想定外」でもない。ひとえに東電と国に責任がある「人災」であります。これをはっきり認めさせてこそ、賠償も誠実で全面的なものにさせることができます。

「線引き」を許さず原発事故によるあらゆる被害・損害に全面賠償を

 第二は、原発事故によって発生した甚大な被害の問題についてであります。農産物、水産物、工業、商業、観光業、そして、住民の方々に甚大な被害を及ぼしているわけですが、あらゆる被害と損害について全面賠償をおこなうことを明確に約束させるよう、ともに求めていきたいと思います。
 全面賠償とは一体何なのか。このことをはっきりさせる必要があると思います。これは勝手に「線引き」をさせないということです。つまり、原発からの距離が何キロだとか、放射能の値が何シーベルトとかベクレル以下だとかいって、勝手な「線引き」をして、被害者を切り捨てるということを絶対にさせないということです。
 原発事故が起こらなかったとしたら起こりえなかった被害・損害があります。原発事故がなかったら、これだけの収入があったはずだ、これだけのまっとうな生活ができていたはずだ、それといまの状態との差額、これはすべて賠償させる。これが全面賠償ということであります。これをみなさんといっしょに強く求めていきたいと思います。(大きな拍手)
 これまでも薬害肝炎の問題など、国や企業がかかわった損害賠償がありますが、相手はどこかで「線引き」しようとしてきました。それを許してはなりません。出荷制限や風評被害もふくめて全面賠償を勝ち取るまで、ともにたたかいぬく決意です。

現に生じている被害・損害にただちに仮払いを

 それから第三は、現にいま生じている被害・損害の問題についてです。私はこの間、全漁連、JA全中のみなさんと懇談する機会がありましたが、とにかく当座の生活がたちゆかないという実態が訴えられました。ただちに仮払いをおこなえということを一緒に強く求めていきたいと思います。
 国の指示によって、福島第1原発から半径30キロ圏内にお住まいの方について、1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円の「仮払い金」をともかく支払うことになりました。しかし、ここでもまた「線引き」がされていて、30キロ圏外の県民には払われていません。
 さらに、農業、漁業、商工業、観光業などについては、風評被害も含めて甚大な被害を被り、いまの生活がたちゆかない、いまの営業がたちゆかないにもかかわらず、「仮払い」がやられていない。「仮払い」がやられなければ、被害はどんどん深刻になります。
 東電は国の審査会(原子力損害賠償紛争審査会)の「指針」を待って「仮払い」をするといいますが、この審査会の責任者は日本経済新聞のインタビューで、「指針」をまとめるのはだいたい7月だと答えています(「えーっ」の声、どよめき)。7月まで待てるわけないですよね。どうやって暮らせというのか。農業者、漁業者のみなさんを破産させ、路頭に迷わせる。こんな姿勢は許せない。ただちに「仮払い」をやれと強く求めていきたいと思います。
 「人災」と認めさせること、文字通りの全面賠償を勝ち取ること、それから「仮払い」をただちにやらせること。この三つは最小限の緊急の要求になります。みなさんとともに、これを実現するまでがんばりぬきたいと思います。(拍手)
 今回の災害は、原発の問題とともに、津波、地震による農業被害はきわめて甚大で、東北の農業をどう立て直すかについては、これまでの法律の枠組みではとうていかないませんから、それにとらわれずに特別の枠組みをつくることが必要です。私たちは、それを政府に具体的に提起していくつもりです。

エネルギー政策を切り替えて原発から段階的に撤退を

 それから、これまでのような原発推進の政策でいいのか。エネルギーも原発頼みでいいのか。根本的な転換が必要です。
 この前、私と菅首相の党首会談で、首相はこれまでの原発大増設計画について、「白紙を含めて見直す」と言いました。しかし、これを「撤回する」とは言っていません。この無謀な計画は撤回させ、原発に頼らないエネルギー政策に切り替えていきたい。原発から段階的に撤退してゼロにする工程表を、党として示していきたいと思っています。(拍手)
 最後までともにがんばる決意を申し上げまして、私のごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)

東京電力による「仮払い」の振込みが始まったというニュースが流れていますが、対象が約5万世帯といわれるのにたいして、26日に振り込まれたのはたった112件。手続きが完了している世帯もわずか4700世帯にすぎません。しかも、今回の「仮払い」の対象は、30km圏内の避難住民と「計画的避難区域」の住民のみ。「風評被害」で苦しんでいる農家や観光地などは、まったく対象外。スピードも遅すぎるし、規模も小さすぎるのではないでしょうか。

仮払金 26日から振り込み:TBS News-i
住民怒りと不信と 東京電力、賠償金仮払い開始:河北新報

仮払金 26日から振り込み

[TBS News-i 最終更新:2011年4月26日(火) 11時43分]

 海江田経済産業大臣は26日、初めて原発事故で避難生活を余儀なくされている住民112世帯に対し、東京電力から損害賠償の仮払金が振り込まれることを明らかにしました。
 「今日払い込みをするのが112件」(海江田万里 経産相)
 仮払いの額は1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円で、対象となるおよそ5万世帯のうち、これまでに4700世帯の申請を受理していて、手続きが終了し次第ほぼ連日、振り込みが行われるとしています。(26日11:21)

住民怒りと不信と 東京電力、賠償金仮払い開始

[河北新報 2011年04月27日水曜日]

 福島第1原発事故によって避難した住民に対し、東京電力が26日、賠償金の仮払いを開始した。事故後1カ月半での支払いに、避難した住民から「遅すぎる」と不満が相次ぐ。今後の生活維持のために、早期の本格的な補償などを望んでいる。
 福島市のあづま総合運動公園で避難生活を送る南相馬市小高区の建築業村松正信さん(59)は「手持ちの現金はほとんどなくなった。避難所での仮払いの申請は28日に行うと市の職員から聞かされたが、東電から説明がないのはどういうことか」と不信感をあらわにする。
 村松さんは「事故で土地や家、仕事を失った。100万円ではいくらも生活できないし、早くこれからの生活の保障について議論してほしい」と言う。
 家族4人で避難した同じ小高区の自動車板金業広田富雄さん(59)も「遅すぎる」と不満をぶつける。「節約しながら暮らしているが、貯金は減る一方。ついに国保の保険料も払えなくなった」と訴える。広田さんは今月中旬、東電に賠償金仮払いの申込用紙を送付するよう電話で依頼したが、いまだに送られてこないという。
 会津若松市に避難している福島県大熊町の無職、佐々公文さん(65)は、慌てて避難してきたので財布に数千円しかなかった。「少額でもいいから、もっと早く支払ってもらえたら良かった」と言う。
 津波で自宅を流され、ほとんど何も持たずに避難した大熊町の主婦吉田正子さん(62)は「町の被災者生活資金を借りてしのいできた。できるだけ早く振り込んでほしい」と話した。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

3件のコメント

  1. いつも、「真実の報道」を伝えて下さってありがとうございます。

    今回の福島県民の皆様の講義行動は、原発推進知事を選択した都民への抗議の意も含んでいるのではと、思えてなりません。

    少しづつ、少しづつですが、微力ながら真理に乗っ取った方向に、定めて行こうと思います。

  2. 今回の原発事故は、事前に何度も指摘されてきたわけですから「想定外」でも「天災」でもありませんね。明らかな「人災」です。

    今度(東海/東南海/南海の3連動傾向のある地震)こそは、人間の英知を結集して「人災」の再発を防がなければなりません。

    そこで、私も脱原発に向けての具体的な【政策案】を練ってみました。

    なにせ、自分で政策など練った経験の無い「素人」ですので、色々と穴のある【政策案】かもしれませんが、ご批判や、ご指摘が頂ければ幸いです。

    拙ブログ最新記事:
    脱・原発に向けた具体的ロードマップに向けて(素案)
    http://blue.ap.teacup.com/nozomi/117.html

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