いまグッドウィルは? 廃業決定であらためて明らかになるその事態

6月25日に廃業を発表したグッドウィルは、いまどうなっているのか?

7月11日付「朝日新聞」によれば、グッドウィルで派遣されていた労働者が派遣先企業のアルバイトになったとたん、それまで月18万円だった手取りが30万円になったとか。他方で、ある支店長は、学生時代グッドウィルの日雇い派遣だったのが、就活失敗のあと、グッドウィルの内勤アルバイトなり、1年もたたずに支店長へ。労働者派遣法や労働基準法の説明もほとんどないまま、前年同月比3割増のノルマを課されていた、という。

ところで、元支店長らが、未払い残業代の支払いを求めて会社側に団体交渉を申し入れるそうだ。会社は阿漕な悪徳企業だが、「名ばかり管理職」で働かされた労働者が残業代の支払いを求めるのは当然の要求だ。

グッドウィル元支店長ら、未払い残業代請求へ(朝日新聞)

グッドウィル元支店長ら、未払い残業代請求へ
[asahi.com 2008年7月12日6時1分]

 今月末で廃業する日雇い派遣大手グッドウィルの元支店長と現役支店長が、管理職時代の残業代の支払いを求め、支援労組を通じて週明けにも会社に団体交渉を申し入れる。請求額は1人あたり300万円以上に上る見通しだ。同社には1千人以上の支店長経験者がおり、今後、請求が相次げば、請求総額は数十億円に達する可能性もある。
 20代の元支店長によると、06年1月から08年4月まで、労働基準法上、残業代が支払われない管理監督者扱いをされてきた。しかし、アルバイトに支払う残業代を節約するため、上司から「アルバイトを帰らせて支店長が残るように」と、たびたびメールや電話で指示され、月平均60?80時間程度の残業をしてきた。
 部下の採用や時給の引き上げなども支店長の裁量では決められず、上司の決裁が必要だった。月1回の支店長会議も、上司が経営方針を説明し、各支店長が業績を報告するだけで、元支店長は「とても経営に関与するような立場ではなく、『名ばかり管理職』だった」と主張する。
 この2人以外にも複数の支店長経験者が残業代を請求する準備を進めているという。支援する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「突然の合意退職の申し入れで社員の不満もたまっており、廃業を契機に一気に未払い残業代の請求が広がる可能性が高い」と話す。今後、全国の支店長経験者らに未払い残業代の請求を呼びかけていく。
 グッドウィルは「個別に判断し、法律上、支払う必要があれば支払う」(広報室)としている。

7月11日付の記事は、インターネットに流れていないようなので、貼り付けておく。

【働く】グッドウィル廃業へ ひずみの後始末続く
[朝日新聞 2008年7月11日付朝刊]

 日雇い派遣業界の代表企業だったグッドウィルの廃業決定から2週間が過ぎた。ピーク時には1日3万人以上いた日雇い派遣労働者たちは、どうなったのか。職場を失う約4千人の社員たちはいま、どうしているのか。その姿を追っていくと、急速に広がった日雇い派遣ビジネスの実態が見えてくる。(諸麦美紀、福間大介)

32歳派遣 同じ仕事、手取り12万円増

 「ピンハネし放題で、結局は廃業。一体、どういう会社だったんでしょうね」
 日雇い派遣労働者だった男性(32)は廃業発表のニュースを苦々しい思いで見た。
 4年前に就職しようと上京したが、「ついずるずると」日雇い派遣で暮らしてきた。今年1月、グッドウィルの事業停止を機に、派遣先の企業のアルバイトになった。日雇い派遣の時は日給7250円。雇用先は人材を確保したいからと、グッドウィルに払っていた派遣料金1万2千円を男性に支払うことにした。
 その結果、手取りは月18万円から30万円に。給与明細を見るたびに思う。「こんなにグッドウィルに取られていたのか。アホらしい」。貯金もでき、気持ちに余裕が出来てきたと感じる。
 グッドウィルでは、この男性のように日々の雇用でも同じ会社に長期で派遣されていた人たちは、派遣先に直接雇用を求めるとしている。
 廃業発表から3日後。NPO法人派遣労働ネットワークが設けた「派遣トラブルホットライン」には、生活の不安を訴える相談が約40件来た。
 「6月に入って仕事の紹介がない。国の救済策はないのか」(大阪の40代男性)。「失業した場合、生活保護は受けられるだろうか」(神奈川の30代男性)
 日々の派遣で働き、貯金も十分にない。そんな人への当面の救済策として、日雇い派遣労働者150人が加入するグッドウィルユニオンでは、<1>有休の取得<2>雇用保険にさかのぼって入り失業給付を受けることを勧める。
 組合員で、5年前から日雇い派遣で働いてきた藤野雅己さん(39)は雇用保険は未加入。今月7日、ハローワークで、雇用保険の加入資格の「確認請求」をした。現在は日雇い派遣や請負の仕事で生活しているが、「失業給付がもらえれば一息つけます」。
 1年半以上にわたり、週20時間以上働いていた人は、失業給付が受けられる可能性がある。だが、同ユニオンの関根秀一郎書記長によると、雇用保険料を給料から引かれていたのに雇用保険に入ってなかった例もあるという。

20代社員「会社に従うしかなかった」

 廃業決定から2週間後。東京のある支店は、閑散としていた。壁には廃業の「おわび」の紙や再就職支援のお知らせが張られている。
 会社側は6月25日に廃業を決めると、すぐに全社員に対し、残務整理をする一部社員を残して6月末で出社をやめ、7月18日までに合意退職届を出すよう求めた。この支店でも、出勤は支店長だけ。ときおり鳴る電話に、「7月末で廃業なので……」と繰り返していた。
 「『ついに来たか』とは思ったけど、こんなに早いとは思っていなかった」
 東日本のある支店に勤めている20代の男性社員は、複雑な表情を浮かべる。
 学生時代はグッドウィルの日雇い派遣労働者だった。就職活動に失敗し、同社の誘いで内勤のアルバイトに。すると、1年もたたずに支店長に昇進。とはいえ、約1年間は身分は契約社員だった。
 正社員になり、初めて受けた本社での研修。みんな支店長でも仕事の内容をほとんど知らず、19歳の支店長もいた。研修では、労働者派遣法や労働基準法の説明はほとんどない。「この会社って本当に大丈夫かと不安になった」
 利益確保にはうるさかった。毎月、売上高は前年同月比約93割増の目標を課され、人件費もその目標を基準に決まっている。人件費が足りなくなると、アルバイトの仕事を減らし、残業代が出ない支店長が一人で仕事をこなす。「名ばかり管理職」だった。
 「聞いていた仕事と違う」「ちゃんと時給を払え」……。派遣社員から浴びせられた非難の言葉は数え切れない。「社員もみんなおかしいとは思っていた。でも、会社の論理に従うしかなかった」
 これから就職活動を始める。社内ホームページには再就職先を紹介するサイトもできたが、同業が多い。「できれば派遣会社は避けたい。今度は誰からも後ろ指を指されず、社名を出しても恥ずかしくない会社を選びたい」

ちなみに、こんな記事もインターネットでは流れている。これによれば、正社員の平均年収は338.7万円、取締役は1750万円。さらにグッドウィル・グループの取締役は平均2900万円。こうやってみると、正社員も、結局は会社に食い物にされていたということが言えそうだ。

廃業するグッドウィル社員の平均年収公開 派遣業界各社を「粗利」で比較(投資&お金活用実践Webマガジン MONEYzine)

廃業するグッドウィル社員の平均年収公開
派遣業界各社を「粗利」で比較
[第10回 ビジネスリサーチ・ジャパン[著] 公開:2008年07月10日 09:00]

 グッドウィルは7月末をメドに廃業する。これにより正社員1974人、平均年収1750万円の取締役も職場を失うことになる。廃業するグッドウィル社員の平均年収の公開、そして業界高水準の同社の粗利が意味するものを明らかにしたい。

平均年収1750万円の取締役も職場を失うことに…

 グッドウィル・グループ傘下の人材サービス会社、グッドウィルは7月末をメドに廃業する。同社社員が逮捕されるなど違法派遣が事件化し、派遣許可の取り消しが確実になったことによる。同グループは、介護報酬の不正請求が悪質として、コムスンを中心とする介護関連事業からの撤退にも追い込まれたばかりだった。
 コムソンやグッドウィル問題が発覚する以前には、08年6月期売上高を7500億円と見込み、株主への説明書では世界大手のアデコ(スイス)やマンパワー(米)をライバル視する姿勢をアピールしていた同グループは、中核子会社2社を失うことで今後は06年に買収したグッドウィル・プレミア(旧クリスタル)を中心に運営することになる。米投資ファンドのサーベラスと米証券大手のモルガン・スタンレーの支援を得て経営再建に取り組むとしているが、株価も含めてその成り行きに注目が集まる。
 ところで、軽作業に特化した請負業を事業目的に1995年にスタート、その後、グッドウィル・ヒュー・マネジメント(旧ヒュー・マネジメント・ジャパン)を吸収合併するなどして、いわゆる日雇い派遣で最大手に登りつめたのがグッドウィルだ。登録スタッフは274万人。売上規模は約1400億円を誇っていた。
 今回の廃業で、平均年収338.7万円(平均年齢29.7歳、平均勤続年数2.4年)の正社員1974人、平均年収1750万円の取締役も職場を失うことになる(グッドウィルの数値はすべて07年6月期決算)。
 ワーキングプア問題に絡んでクローズアップされる派遣者はもとより、人材サービス会社の正社員の収入を、その構図を含めて確認しておこう。
 きわめて単純にいえば、人材サービス会社は、派遣先企業から得た収入からある程度の割合を差し引いた金額を派遣者に支払うことで会社を運営する。入りと出の差額で会社は成り立つわけだ。
 次にもしグッドウィルが、1人1時間当たり1000円の時給で派遣先企業と契約していたとしたら、派遣者には1000円のうちいくら支払われていたか見てみよう。

1000円の内訳は、派遣者に664円、会社側に336円

 グッドウィルの場合は、登録者274万人のうち毎日2、3万人程度が実際に働き、会社に年間で1384億円の収入をもたらしていたことになる。そのうち、派遣者に支払われる賃金などは「売上原価」として計上され、その額は920億円だった。
 売上に対する売上原価の割合は66.4%――。
 つまり、グッドウィルと派遣先企業が1人1時間当たり1000円の時給で契約していたとしたら、派遣者には664円が支払われ、会社側には336円残ったという計算になるわけだ。
 売上原価には派遣者の交通費や福利厚生費なども含まれることが多く、派遣者の実際の取り分はこの売上原価の比率よりは低くなる。
 グッドウィルでは「データ装備費」という名目で差し引いていたことが問題になったが、派遣者に実際に支払われる賃金に相当するのは「労務費」。グッドウィルの場合は845億円で、売上高に対する割合でいえば、売上原価からさらに5%低い61.0%だった。
 いずれにしても、売上原価が低ければ低いほど、逆にいえば売上総利益(粗利)が高ければ高いほど、派遣先から支払われるそれと派遣者に実際に手渡される金額に格差があるということ。会社の取り分が多いというわけだ。

グッドウィル・グループの取締役平均年収は2900万円

 一方で、人材サービス会社の正社員や役員に対する給与などは、粗利を原資とする「販売費及び一般管理費(販管費)」から支給されることになる。
 グッドウィルが計上していたのは「給与諸手当159億円」「退職給付引当金繰入額2127万円」「法定福利費15億円」など総額175億円。取締役報酬は 6人に総額で1億500万円(その他監査役1人に2000万円)。その結果が、従業員338万円、取締役1750万円の平均年収だったのだ。
 ちなみに、グッドウィルの親会社であるグッドウィル・グループはさすがに子会社より高給で、従業員平均年収が502.8万円、取締役平均年収は2900万円。日雇い派遣者は、グッドウィルを通して親会社にも貢献していた構図である。

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