約4割が内部被曝?!

本日付「東京新聞」の「こちら特報部」。福島県二本松市が、独自に、住民の内部被曝の調査をおこなうことを決めた、という記事ですが、そのなかにこんな記述が。短くて全体が分かりませんが、もしこの数字が本当なら、かなり深刻な事態です。

 長崎大学病院の分析によると、福島県に派遣された長崎県職員や被災地からの避難者など、3月中に現地にいた87人のうち、約4割が内部被曝していたという。
 福島原発の労働者以外でも、内部被ばくが広がっているのは確実だ。(「東京新聞」2011年6月4日付朝刊「こちら特報部」)

記事でも指摘されているように、内部被曝についても早急な住民検査が必要でしょう。

同記事でも解説されているが、放射線を被曝したことによる影響は、短期間に大量に浴びた場合の「急性障害」と、数ヶ月後から数十年後に症状が出る「晩発性障害」があります。晩発性の障害は、被曝線量が高くても低くても出ると言われており、これこれの線量以下であれば安全という「閾値」がありません。

「ただちに健康に影響を与えるものではない」というのは、急性障害が出るような線量ではないという意味で、晩発性障害の影響がないという意味ではありません。

内部被曝であれ外部被曝であれ、放射線を被曝した方々は、晩発性障害のリスクを背負わされた訳です。しかしいちばんの問題は、内部被曝しているかも知れないのに、その事実を住民が知らされていないことです。

【追記】

関連する新聞記事を見つけました。

福島からの避難者ら4割が内部被曝 長崎大病院調べ:中国新聞
福島入りした本県関係者の体内から放射性物質 健康に影響なし:長崎新聞

福島からの避難者ら4割が内部被曝 長崎大病院調べ

[中国新聞 2011/6/2]

 福島第1原発事故を受け、救援活動などで現地入りした人や、現地から長崎県に避難している人たちを長崎大病院(長崎市)などが調べたところ、約4割が内部被曝(ひばく)していることが分かった。原発作業員以外の体内放射能の測定結果が明らかになるのは初めて。健康影響は考えなくていいレベルという。同大の研究グループは5日、広島市中区で開かれる「原子爆弾後障害研究会」で報告する。
 同大病院は3月14日から、福島県に派遣された大学や長崎県職員のほか被災地からの避難者を対象に、ホールボディーカウンター(全身測定装置)を使って体内放射能を検査している。同月末までに検査を受けた計87人を分析したところ、通常は検出されない放射性ヨウ素131を34人(39%)から、セシウム137を22人(25%)から検出した。
 ヨウ素は体重1キロ当たり平均8.2ベクレル、セシウムは同12.5ベクレルだった。人間(成人)の体内には通常でも、放射性物質のカリウム40が50〜70ベクレル存在することから、健康影響はないと考えられるという。
 研究グループに参加した長崎大先導生命科学研究支援センターの松田尚樹教授は「ヨウ素やセシウムの値は予想の範囲内だった。呼吸を通じて取り込んだものが大半ではないか」とみる。4月以降に福島県内に入り、測定を受けた人の検出量はゼロに近づいているという。
 松田教授は「早期の内部被曝結果がデータとして現れた。原発との距離や方向、滞在時間などの行動パターンと合わせて解析することで、今後の研究に生かせるのではないか」と話している。

福島入りした本県関係者の体内から放射性物質 健康に影響なし

[長崎新聞 2011年6月3日]

 長崎大は2日、福島第1原発事故発生直後から医療活動や行政支援で福島入りした本県関係者の内部被ばく状況を調べた結果、一部から放射性物質「ヨウ素131」と「セシウム137」を検出したことを明らかにした。
 いずれも自然界には存在しないが、同大先導生命科学研究支援センターの松田尚樹教授は「健康には全く影響のないレベル」としている。
 松田教授によると、事故発生直後から3月末までに、福島県に派遣された長崎大などの医療チームや県内の自治体職員など87人を全身測定装置「ホールボディーカウンター」で検査。このうち、ヨウ素131が34人から、セシウム137が22人から検出された。
 体重1キロ当たりの平均検出量はヨウ素が8.2ベクレル、セシウムは12.5ベクレル。通常、一般成人の体内には、同じ性質の放射性物質「カリウム40」が体重1キロ当たり50〜70ベクレル程度含まれており、今回の検出量はその数値に比べ極めて低い。対象者の滞在期間は数日間から1週間程度だった。
 同大は、4月以降も福島入りした関係者を対象に検査を続けているが、検出される数値は、いずれも限りなくゼロに近づいているという。
 松田教授は「安全・安心のデータを提供するという意味では、意義ある数値」と指摘。今後、福島での行動パターンと放射性物質の検出量との関係性などについてさらに解明を進める。
 同大の研究グループは、これまでに検査した約300人のうち、150人分のデータについて、5日に広島で開かれる「原子爆弾後障害研究会」で報告する。

報道の限りでは、よく分からないことがいろいろ。内部被曝の場合、検査した時点での「平均検出量」だけでなく、どれぐらいの放射性ヨウ素やセシウムを体内に取り込んでいて、積算でどれぐらいの放射線を被曝することになるのかを考えないといけないのでは? また、同じ1ベクレルでもα線のほうがエネルギーは高いから、人体への影響を考えるためには、それらを勘案した線量当量を計算しないといけないように思うのですが…。

また、この数字は、福島(のどこか分かりませんが)に数日から1週間程度滞在した人の場合。地元にずっととどまっていた人の場合、どうなるのか。早急に実態調査が求められます。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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